2013年

4月

09日

闘論席 2013年4月9日号

池谷裕二

(脳研究者)

 

 イヌやネコが病気になったら、ペット病院で薬をもらうだろう。意外に思うかもしれないが、動物用の薬の成分は、ヒトの医療薬とほぼ同じである。実際、ヒトの鎮痛剤でイヌの痛みは消えるし、ヒトの睡眠薬でネコもぐっすり眠る。ヒトが動物の一種であることを考えれば当然と言えば当然だ。もし納得できなければ、製薬会社が動物実験を通じて「ヒトの薬」を探していることを思い出してもらえれば十分だろう。

 

 最近、この薬の「普遍性」が、意外な影響をもたらすことが指摘されている。ウメオ大学(スウェーデン)のブロディン博士らが今年2月の米科学誌『サイエンス』で発表した調査結果もその一環である。

 

 博士らが注目したのは脳疾患薬である。脳疾患薬は、その性質上、化学的に安定な分子であることが多い。だから、尿として体外に排出され、排水として自然環境に放出されると、分解されずに蓄積される。 ………