2013年

4月

09日

学者に聞け!視点争点 2013年4月9日号

◇解消すべきユーロ圏金融市場の分断

◇各国の銀行監督にも問題あり

 

田中素香

(中央大学経済学部教授)

 

 ユーロ圏金融市場の南北分断が、金利格差や銀行貸し渋りの原因となって南欧の不況を長引かせ、ユーロ圏全体に悪影響を及ぼしている。10年物国債の利回りはドイツの1%台に対し、スペイン、イタリアでは4~5%台と格差がある。企業の資金調達金利にも差があり、借り入れ条件も北部欧州よりはるかに厳しい。このように金融市場における南北分断は、南欧諸国の財政問題よりむしろ悪質といえる。


 ユーロ導入から2008年の世界金融危機まで、ユーロ圏の金融統合は順調だった。為替リスクがなく、域内各国の長期金利は接近し、南欧諸国の経済成長率は高まった。ドイツを筆頭に経常収支黒字・貯蓄超過の北部欧州諸国から、経常収支赤字・貯蓄不足のスペインやギリシャなど南欧へ約2兆ドルの資金が流入したからである。
 フランスなどの大銀行は南欧現地に子会社を設置し、あるいは現地銀行を買収して資金を供給した。ドイツの貯蓄銀行など中規模銀行も、南欧の現地銀行に対する巨額の貸し付けに乗り出した。………