2013年

5月

14日

学者に聞け!視点争点 2013年5月14日特大号

◇円安効果は限定的

◇日本が圧倒的に優位だった産業の没落

 

西村陽造

(立命館大学政策科学部教授)


 円高是正が2012年末から急速に進んだ。対ドル相場だけでなく、主要貿易相手国通貨に対する円相場を貿易量に応じて加重平均した名目実効為替レートにおいても同様である(図)。長期的な均衡為替相場水準とみなせる貿易財でみた購買力平価は、現状では「1ドル=90~100円程度」といわれているようなので、日本経済にとっては望ましい状況といえる。


 この円高是正、すなわち円安が輸出や貿易収支を押し上げる効果への期待は、株価や景気の先行きへの楽観論を支える要因の一つだ。しかし、この効果は期待されるほどではない。
 円安の効果が出るまでにはタイムラグがある。為替相場の変化は、まず輸出側と輸入側の間での契約価格の見直しを促し、その結果生じる価格の変化が最終需要者の購買量を変化させるが、こうした変化には時間を要するからだ。………