2013年

5月

21日

学者に聞け!視点争点 2013年5月21日号

◇ユーロ危機は持久戦の「後期」へ

◇ドイツも低成長国に仲間入り

 

田中素香

(中央大学経済学部教授)

 

 ユーロ危機の性質は2012年秋を境に変わった。12年秋以前は危機の「前期」、それ以降を「後期」と位置付けられる。

 前期の特徴は金融市場パニックであった。10年春のギリシャ危機、11年後半にわたるユーロ圏域全体の危機、そして12年春から夏にかけてのギリシャのユーロ離脱危機・スペイン銀行危機と3波にわたって、パニックが相次いだ。この収束に大きな役割を果たしたのは、欧州中央銀行(ECB)が12年9月に無制限の国債購入措置(OMTと呼ばれる)を打ち出し、10月にユーロ圏諸国が「欧州安定メカニズム(ESM)」をスタートさせたからだとされる。
 ESMはユーロ圏諸国の条約によって創設された恒久的な危機対応機関である。ユーロ圏の財政危機や銀行危機に対して5000億ユーロ(約65兆円)までの資金支援能力をもつ。危機国の国債を発行段階で直接購入することもできる。………