2013年

5月

28日

特集:外国人投資家の正体 2013年5月28日特大号

◇「最善の投資先は日本株」

◇買い余力はまだ大きい

 

秋本裕子

(編集部)

 

「現在選択しうる最善の投資先は日本株であり、最大のショート(売り持ち)資産は日本円が適切だ」


 5月上旬、米ラスベガスで開かれた恒例の投資戦略シンポジウム。出席者によると、著名ヘッジファンドマネジャー、ダニエル・ローブ氏のこの発言が、投資家らから支持を集めた。ローブ氏はまた、「雇用拡大や賃金上昇をめぐる日本経済の構造改革は、世界の株式市場にとってゲームチェンジャー(世論の動向を変える出来事)になるだろう」などと述べたという。
 ニューヨークでは、同シンポジウムと並行して別の投資戦略シンポジウムも開かれた。こちらも、話題の中心は「日本株と日本円への投資スタンスは今後どうあるべきか」。いずれも世界中から数千人の投資家を集め影響力は大きい。

 ◇4月に買い越し額最高

 日本の株式市場の急騰を牽引しているのは、売買代金シェアで6割を握る外国人投資家だ。外国人の買い越し額は4月に過去最高の2兆6800億円、半年間の累計では約8・5兆円に上る。こうした買いで、日経平均株価は5月15日の終値が1万5096円となり、2007年12月以来約5年5カ月ぶりに1万5000円台に乗せた。昨年11月半ばからの上昇幅は約6割。円安が株高を強力に後押ししている。
 外国人投資家はどこまで買い続けるのか、上昇相場はいつまで続くのか。
 小泉純一郎政権の「郵政解散」相場では、外国人は05~06年にかけて累計11兆円買い越している。こうした事例を基に、「まだ外国人には買い余力があり、数年にわたり株高が続く可能性も高い」(東海東京調査センターの隅谷俊夫投資調査部長)との強気の見方が多い。
 4月下旬、香港のヘッジファンドなどの依頼で急きょ現地訪問し、アベノミクスや日本の機関投資家の最新動向について説明に回ったというパルナッソス・インベストメント・ストラテジーズの宮島秀直チーフストラテジストは、「現地のヘッジファンドマネジャーらは、第1次安倍政権の失敗を繰り返さないか、つまり雇用拡大や賃金上昇につながるのかに最も関心を持っていた」と話す。

 ◇6月後半に注目

 雇用対策の具体案などは6月中旬に公表予定の成長戦略に盛り込まれる。世界的に注目を集めるのは間違いない。もし中身が市場の期待に沿わなければ、ヘッジファンドがポジションを解消し、株価がいったん調整に向かう可能性がある。逆に言えば、成長戦略や夏の参院選を無難に乗り越えれば、株価もさらなる上昇が見込めるということだ。しばらく株式市場から目が離せない。