2013年

6月

04日

特集:使える統計学 アベノミクスの進捗 2013年6月4日号

◇五つの統計データを見れば分かる

 

永濱利廣

 (第一生命経済研究所主席エコノミスト)

 

 

 アベノミクスが描く景気回復のシナリオの流れを図1に示した。各局面の達成度を数量的に把握するには次の五つのデータに注目すればいい。

 

◇金融緩和の進捗度合いを示す
 マネタリーベース(日本銀行、月次、翌月第2営業日発表)

 市中に出回る流通現金に日銀の当座預金を加えたものであり、日銀が経済全体に供給する通貨を示す指標。日銀の当座預金とは、民間の金融機関が準備預金制度によって預金総額の一定割合を日銀に無利子で預け入れているもので、金融機関が自由に使える無利子の手元資金となる。各金融機関が制度上預けるべき金額を超えて当座預金が増えれば、金融機関にとっては利益を生まない資産が増えるため、当座預金を取り崩してリスクをとった運用を増やそうとして、経済全体にお金が回ることになる。
 日銀は国債やETF、J-REIT(リート)を大量に購入することで当座預金残高を操作し、マネタリーベースを2012年末の138兆円から14年末に270兆円にしようとしている(図2)。従ってマネタリーベースの推移は金融緩和の進捗度合いを示す。特に12年末からの平均的な増加ペースが算出できるため、そのペースに追随する形で増加すれば緩和が順調と判断され、逆に計画を下回る局面では遅れていると判断される。………