2013年

6月

11日

特集:景気の壁 第一の関門「金利変動」 2013年6月11日号

◇金利上昇はリフレ政策の弱点
◇成長戦略も揺るがしかねない

熊野英生

(第一生命経済研究所首席エコノミスト)

 5月23日の東京市場は株が前日比で1143円急落すると同時に、長期金利(10年物国債利回り)が一時1%にまで上がった。巷間、「金利上昇が株価を暴落させた」という単純明快な見方がされているようだが、筆者はこれに賛同しない。事実はもっと複雑だ。金利上昇は、黒田日銀が想定していた長期金利安定、円安・株価上昇という流れを期待形成だけで引っ張っていけるというシナリオを崩し、リフレ政策の“神通力”を疑わせた点が問題なのだ。

 実は、日本の長期金利は5月10日時点から0・7%を超えて、じりじりと上がっていた。この金利上昇は、米国の長期金利上昇に引きずられたものである。米国金利は歳出削減の影響により弱い経済指標が続いたことで一時低下していたが、5月3日発表の4月雇用統計が市場予想を上回り、上昇に転じた。日本の金利が、米金利に連動して上昇したことは、日銀の金融緩和が長期金利を必ずしもコントロールできるわけではないという別の不安を想起させる。これも株価にマイナスだった。
 23日の市場混乱を受けて、黒田東彦日銀総裁は、「日銀の金融緩和効果を通じて長期金利は安定するはず」と繰り返したが、細かく長期金利を抑制する姿勢とは距離を置いた点で、金利水準の押し下げにつながらなかった。………