2013年

6月

11日

特集:景気の壁 警告 金利上昇圧力は止まらない 2013年6月11日号

菊池真
(ミョウジョウ・アセット・マネジメント代表取締役)

 最近の長期国債の価格下落(長期金利の上昇)は、おそらく銀行などのバリュー・アット・リスク(VAR)によるリスク管理が原因だと考えられる。VARとは、直近のボラティリティ(価格変動の激しさ)に基づき、どの程度価格が動くといくらの損失になるという計算をし、最大限いくらまでの損失に抑えるという基準を決めて、国債保有高のリスク管理をするやり方だ。

 長期国債のボラティリティは、4月の「量的・質的緩和」発表をきっかけに市場の乱高下が続き、それまでに比べて2・5倍から3倍へと跳ね上がっている。これによりVARによる見込み損失額が急上昇し、銀行はリスク管理上の要請から長期債の保有残高を減らし短期債への入れ替えを行っているのであろう。しかし、その銀行の「売り」と日銀の金融緩和に伴う「買い」とが交錯することによって、長期国債のボラティリティが高い状態が続いてしまい、さらなるリスク削減(売り)を迫られるという皮肉な構図になっている。
 つまり、VAR管理による長期国債削減の動きが続く限り、長期金利の上昇圧力は減らないということだ。日銀は長期国債の大量買い入れにより長期金利の低位安定を狙ったはずだが、現実は明らかに狙いから外れてきている。………