2013年

6月

11日

特集:景気の壁 警告 黒田日銀は「爆弾低気圧」 2013年6月11日号

◇国債購入ペースの再検討を

中原伸之
(元日本銀行審議委員)

 日銀は4月から「量的・質的緩和」を開始した。日銀が市場で毎月購入する長期国債の額は政府が市場で発行する国債の約7割相当と圧倒的な数量である。これだけの量の介入は戦時中の統制経済を連想させる。そのため、市場との摩擦、つまり長期金利上昇(国債価格の下落)が起きるかもしれないと懸念していたが、それが現実となった。

 黒田東彦日銀総裁が目指す方向性は正しい。2012年時点の主要国のマネタリーベース(通貨供給量)は、01年1月対比で米国は5倍、中国は8倍に増えたのに対して、日本は1・9倍。この差が円高やデフレの要因となっていた。量的・質的緩和では、マネタリーベースを14年末に270兆円にまで拡大する。これは01年1月対比で約4倍の額であり、ようやく各国に追いつく。ただ、緩和に伴って行う長期国債の購入ペースについてはもっと慎重になった方がいい。
 なぜなら、いまの黒田日銀は「爆弾低気圧」だからだ。強い上昇気流で市場から大量の国債を吸い上げながら、爆発的に発達している。爆弾低気圧は嵐を起こす。5月23日に長期金利が一時1%を超えたが、ここ数年の金利水準と日銀が独占的な買い手に回っていることを考えると、理屈上はありえないはず。このままだとさらに発達して台風や竜巻にもなりかねない。その被害は国債を大量に抱える地銀に出る。………