2013年

6月

18日

特集:中国・韓国の悲鳴 中国編 「ニセ輸出」疑惑 2013年6月18日特大号

◇香港との輸出入に大幅なズレ 成長率7%割れの可能性も

齋藤尚登
(大和総研シニアエコノミスト)

 中国の貿易統計を巡って、ある疑惑が噴出している。本来はほぼ一致するはずの中国本土と香港の間の輸出入で、中国の対香港輸出(中国側統計)と香港の対中国輸入(香港側統計)の乖離が特に今年に入ってから著しいのだ。実態を伴わない「ニセ輸出」の可能性が高く、その対価として香港から大量の資金が中国の不動産に向かっているとみられる。今年1~3月期の中国の実質国内総生産(GDP)成長率は7・7%と鈍化しているが、輸出の統計が水増しされているとすれば実態は7%割れの可能性もある。

 中国税関統計によれば、今年1~4月の輸出は前年同期比17・4%増、輸入は同10・6%増と好調を維持している。昨年の輸出が前年比7・9%増、輸入は同4・3%増だったことから考えると、1~4月の好調ぶりは際立っている。1~4月の貿易黒字は609・9億ドルに達し、前年同期比では3・2倍増を記録した。好調な輸出に支えられる形で、今年1~3月期のGDP成長率に対する純輸出の寄与度は3年ぶりのプラスに転じた。

 

 だが、貿易統計を相手国・地域別にみていくと異変に気付く。1~4月で輸出額が最も多いのは香港向けの1450億ドルで、前年同期比69・1%と大幅に増加しているのである。2位の米国が同5・0%増、3位の欧州連合(EU)が同0・9%減、4位の東南アジア諸国連合(ASEAN)が同30・6%増、5位の日本が同3・0%減だったのと比べると、その伸びは著しく高い。香港向けの輸出は通常、大部分が欧米を中心に第三国へ再輸出されるため、中国にとって実質的には米国が最大、EUは第2位の輸出先である。しかし、中国からの米国やEU向けの輸出の動向と比較すると、香港向けの輸出急増には大きな違和感を抱かざるを得ない。………