2013年

6月

25日

エコノミストリポート:成長国でなぜ?トルコ反政府デモの衝撃 2013年6月25日号

松長昭
(笹川平和財団主任研究員)

 トルコは、核開発が疑われるイラン、政情不安が続くイラク、内戦で揺れるシリアと国境を接し、黒海を隔ててロシアやウクライナと貿易が盛んである。BTCと呼ばれる国際石油パイプラインでアゼルバイジャンの石油を地中海から欧州向けに積み出している。北大西洋条約機構(NATO)の有力な加盟国でもあり、欧州とは関税同盟を締結して貿易が盛んで欧州連合(EU)加盟を目指している。

 日本にとっても近年は企業進出が盛んで、黒海沿岸のシノップ原子力発電所建設に向け、三菱重工業が優先交渉権をとるなど経済関係も深くなりつつある。トルコは、東西の結節点として経済的・地政学的な要衝である。そのトルコが最近の反政府デモをきっかけに動揺し始めている。

 ◇きっかけは酒の販売制限

 5月24日、トルコ大国民議会(国会)は、エルドアン首相が提出した夜間から早朝にモスク近くでのアルコール類の販売を制限する法律を与党公正発展党(AKP)の支持を得て可決した。AKPは穏健なイスラム主義を信奉する政党である。トルコはイスラム教徒が95%を占めているが、飲酒には寛容でビール、ワイン、ラク(ブドウの蒸留酒)のアルコールを生産し販売している。この動きに対して、市民生活へのイスラムの強化を、野党や市民から反発や懸念の声があがっていた。……