2013年

6月

25日

特集:バブルの研究 バブルの歴史 2013年6月25日号

◇戦争が生んだ投資家層から熱狂なきバブルの時代へ

板谷敏彦
(作家)

 1980年代の株式・不動産バブルを知る古参の証券マンは、郵政でも道路公団でも、あるいは電力会社再編でもよいから、一般の投資家が儲かるような大規模な株式の売り出しがないかと考えている。一度、大勢の人達が株式投資は儲かることを経験すれば、投資家層が厚くなり、日本の株式市場はもっと活性化するに違いないと考えているのだ。この失われた20年間の東京株式市場は、一般の投資家に対してあまりにも収益機会が少なすぎた。

確かに歴史を振り返るとバブルの発生にはユーフォリア(熱狂的な陶酔感)を共有する投資家層がいなければならない。一部の投資家だけが儲かっても仕方がないのである。1920年代の米国の繁栄を描いた『華麗なるギャツビー』のパーティーの参加者も、夜な夜な銀座の高級クラブを満員にした80年代の日本のサラリーマンたちも、株式や不動産が永遠に上昇を続け、遊びのカネはどこからか湧いてくるという、世の中全体で共有する幻想があったればこそ、成立した話だった。

 ◇世界三大バブル

 しかし、「ユーフォリア」という本質は同根であっても、金融システムが高度化するにつれ、バブルの形態も多様化していることに注意が必要だ。リーマン・ショックに連なるバブルは住宅市場およびそれを担保にした信用バブルであって、実質S&P500株価指数の推移(図1)にあるようにインフレ調整された株価では、2000年のITバブルの水準を超えられず、決して株式のバブルではなかったのだ。………