2013年

7月

23日

エコノミストリポート:原発賠償の現状 圧縮へ経産省と歩調を合わせる東電 2013年7月23日特大号

 ◇圧縮へ経産省と歩調を合わせる東電 避難指示解除で減額・打ち切り

除本理史
(大阪市立大学大学院経営学研究科教授)

 原子力規制委員会が決めた原発の新規制基準が、7月8日に施行された。電力各社は再稼働に向けて動くが、東京電力がめざす早期再稼働は、立地県から懸念の声が上がり、見通しが困難になっている。東電柏崎刈羽原発がある新潟県の泉田裕彦知事は、毎日新聞のインタビューで、新規制基準では原発の安全性確保の条件として不十分との認識を示した(同紙2013年6月30日付)。

 本誌7月2日号で述べられているように、再稼働の問題点は安全性の確保だけではない。倫理性や経済性の観点からも、疑問が投げかけられている。立命館大学の大島堅一氏は経済性の面から、新規制基準を受けた対策費用や損害賠償などの増加によって、「原発のコスト」が上昇していく可能性を指摘している。それらは従来「無視されてきたコスト」であり、安全対策や賠償はきちんと実施されるべきだ。

 ◇増える原発コスト

 その場合、東電の賠償額は全体でどれほどにのぼるのか。東電がこれまでに支払った額は、13年5月末現在で2兆3705億円に及ぶ。しかし、今後について、確実な見通しを述べるのは難しい。後述するように、額の大きい不動産の賠償が始まったばかりだという事情がある。………