2013年

7月

30日

問われる公金運用:朝来市の仕組み債訴訟が終結 2013年7月30日号

黒崎亜弓
(ジャーナリスト)

 ◇曖昧にされる「様々な責任」

 デリバティブ(金融派生商品)を組み込み、複雑さの裏にリスクをはらむ仕組み債。購入者と、販売した金融機関との間ではトラブルが続出している。「確実かつ効率的な運用」が求められる自治体にも販売された。
 2012年6月、金融機関を相手取り、自治体としては異例の訴訟に踏み切ったのが兵庫県朝来(あさご)市だ。ところがアベノミクスによる円安下で事態は思わぬ顛末を迎えた。

 ◇ヒヤヒヤの売却劇

 提訴から11カ月経った今年5月23日午後、神戸地裁。朝来市と、仕組み債を売ったSMBC日興証券、三井住友銀行の弁護士が初めて向かい合った。市側の弁護士が切り出した。「仕組み債を売却すれば損失がなくなると見込まれている。売却した時点で訴訟を取り下げたい」──。

 朝来市が06~08年に購入した仕組み債は当初は4~6%と高利回りだが、その後、利率が米ドル・円か豪ドル・円の為替レートに連動し、一定の円高時にほぼゼロとなる商品。満期は30年。ただし、利子が一定額積み上がった時、または為替レートが一定水準の円安になった場合には満期に至らずとも償還されるという早期償還条項がある。………