2013年

7月

30日

特集:機関投資家の正体 相場の主役はこう動く(2) 為替 2013年7月30日号

高島修
(シティグループ証券チーフFXストラテジスト)

 ◇円売りは急に進まない ドル主導の円安で1ドル=105円

 4月上旬、日銀の黒田東彦総裁が異次元緩和の導入を決めた後、筆者には海外投資家からの問い合わせが殺到した。彼らの質問は「日銀が年間60兆~70兆円も供給するベースマネー(日銀が金融機関に供給する通貨)は、どこへ行くのか?」というものが大半だった。
 恐らく海外投資家の間では、ジャパンマネーと言えば近年、投資信託などで外貨投資を膨らませている個人投資家の印象が強いのだろう。「日本から流出する投資資金は、高利回りを求めてブラジルやトルコのような新興国へ向かうはずだ」との期待が感じられた。

 この質問に対する筆者の答えは、「日銀が供給するベースマネーは、どこにも行かない」というものであった。日銀が供給するベースマネーは、銀行など金融機関が日銀に保有する当座預金残高として積み上がる。日銀はバランスシートの資産サイドで、日本国債などの保有残高を増やす一方、負債サイドで日銀当預の残高を増やす。その時、金融機関は資産サイドで日本国債などの保有残高を減らすとともに、日銀当預の残高を増やすだけだ。筆者が「日銀マネーは、どこへも行かない」と答えた理由である。………