2013年

8月

20日

「期待」とは何か:Q&Aで理解する経済学の「期待」と日銀政策の効果 2013年8月13・20日合併号

 ◇日銀の「異次元緩和」の手法の一つは「期待に働きかける」というものだ。では経済学における「期待」とは何か。それはどのようにして「働く」のかを理解する。(聞き手=平野純一・編集部)

福田慎一
(東京大学大学院経済学研究科教授)

── 経済学で「期待」という言葉が使われます。これはどのようなものでしょうか。

 

■経済学とは基本的に人間行動を分析する学問です。人間は、モノとは異なり、いろいろなことを考えて行動することが非常に重要です。そこで「期待」(expectation)という考え方が出てきます。人間は常に、将来に何が起きるだろうかということを考えて生きています。それが経済に大きな影響を与えるのです。人間行動が経済を規定し、その人間行動は「期待」によって左右されるという考え方です。
 経済学は一部で工学的、物理学的な考え方を導入していますが、基本的な対象は人間です。物理現象では、モノを押せば押されたままにモノは動きますが、人間の場合は、何か刺激を受けても単純に動くのではなく、考えながら抵抗したりもします。この人間が持つ思考や将来に対する考え方をどう扱えばいいのかが経済学の大きなテーマであり、「期待」というものを取り入れる理由です。
かを考察するアプローチが主流になっていると言えるでしょう。………