2013年

8月

20日

特集:世界経済「出口」の後 第1部 「震源地」中国・米国全解明 マネー逆流2 2013年8月13・20日合併号


 ◇量的緩和縮小 基軸通貨で戦後初 国際金融危機のリスクに

黒瀬浩一
(りそな銀行 チーフ・マーケット・ストラテジスト)

 かつてグリーンスパン前米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、金融政策の運営を自動車の運転に例えたことがある。乗り慣れた自動車の運転なら、たとえ初めての道を運転する場合でも、交差点の見通しや周りの建物の状況から、どの程度のスピードなら安全かは、過去の経験から類推して分かるものだ。
 しかし、乗り慣れた自動車ではなく、仮に新たな発明品である摩擦抵抗の少ないリニア自動車だったら、どうなるだろう。ある程度の試行錯誤を覚悟しなければならないだろう。例えるなら、利上げなど通常の金融引き締めは乗り慣れた自動車の運転、戦後初の試みである基軸通貨ドルの量的緩和(QE)縮小は、新発明品であるリニア自動車の運転だ。過去にない経験に、世界中の金融市場関係者にも、FRBの当事者にも、緊張が走る。
 緩和縮小そのものは2000年代半ばの日銀が経験しているし、足元では欧州中央銀行(ECB)が緩和縮小のオペレーションの最中にある。しかし、世界の外貨準備、また決済通貨の中心的地位にある基軸通貨ドルの緩和縮小であるが故に、その影響は世界に及ぶと見られるからだ。………