2013年

9月

10日

エコノミストリポート:日本の地震学界に問う 2013年9月10日号

 ◇予知は現時点では不可能と認めて「東海地震」を前提とした大震法は撤廃せよ

ロバート・ゲラー
(東京大学大学院理学系研究科教授)

 日本は地震大国である。少しでも可能性があれば地震予知に挑んでもらいたいと考えるのは素朴な気持ちだ。しかし、国家プロジェクトとして「地震予知計画」が1965年に始まってからおよそ50年が経過したが、地震予知研究は開始当初からまったく進んでいないと言わざるを得ない。計画開始当時、予知研究関係者は、いつ業務として地震警報を出せるようになるのかについて、10年後、すなわち75年に答えると約束したが、いまだにその答えを出せていない。

 近年、国内外の研究の進展によって地震発生の仕組みがどれだけ複雑であるかが明らかになりつつある。地中では無数の小さな地震がいつでも発生しており、そのうちのごく一部が連鎖反応として大地震まで展開すると分かってきた。それも偶然に左右された現象として起きる。従って、どの小さな地震が巨大地震につながるかは特定できない。つまり、正確な予知はできないのだ。
 地震学分野の主要課題は、地震発生メカニズムの解明と地球内部構造の推定だ。日常生活に関係する地震学の研究成果の応用は、主に建物やインフラ設備など構造物の安全基準を決定する重要参考データを提供することと、緊急地震速報の発信の基礎データと理論的基盤を提供することだ。地震予知に関する研究は、地震発生メカニズムに関する研究のごく一部にすぎない。………