2013年

10月

15日

ワシントンDC 2013年10月15日特大号

 ◇次は債務引き上げ交渉 共和党の強硬姿勢が続く

 

今村卓

(丸紅米国会社ワシントン事務所長)

 

 まさかの事態である。9月30日までに2014会計年度(13年10~14年9月)の予算が成立せず、10月1日から一部の政府機関が閉鎖されてしまった。夏前には誰も予想しなかったことが、1996年以来、約17年ぶりに発生してしまった。

 ◇折れない保守派

 

 世論は、医療保険改革法の見直しと財政交渉を結び付ける共和党の瀬戸際戦術に納得していない。

 9月後半に行われた『ニューヨークタイムズ』紙とCBSテレビの共同世論調査によれば、医療保険改革法への不支持は支持を大きく上回るが、暫定予算から同法の関連予算を除外することに対する支持は3割強しかない。さらに債務上限引き上げと医療保険改革法を結び付けることへの反対は6割ある。世論は、米国債デフォルトなどのリスクをとってまで医療保険改革法を見直してほしいとは思っていない。そのような主張を支持するのは保守強硬派という有権者の一部に過ぎない。

 世論が求めない瀬戸際戦術を強行した揚げ句に政府閉鎖を現実にした共和党は、これから代償を払わされる可能性がある。政府閉鎖の前に行われたこの調査でも、政府が閉鎖されれば非難の対象は共和党が44%であり、オバマ政権・民主党の35%を上回る結果が出ていた。

 実はベイナー議長など下院共和党の指導部も、政府閉鎖になれば来年の中間選挙で共和党は敗北する恐れがあると警戒し、当初は予算交渉を医療保険改革法の見直し交渉と連動させない戦略を立てていた。だが、保守派に押し切られてしまった。

 共和党は、この先の債務上限引き上げ交渉についても医療保険改革法の見直しと連動させる戦略を修正することはないだろう。下院共和党の大半を占める保守派議員は、予算交渉で譲歩しなかったオバマ政権と民主党に対する怒りを募らせ、今度こそ医療保険改革法を骨抜きに追い込もうと攻勢を強めようとしている。

 しかし、債務上限引き上げ交渉も決裂となれば大変だ。米国債デフォルトがもたらす衝撃は、政府閉鎖の比ではない「破壊的」なものであり、回復がようやく軌道に乗りつつある米国経済を後退に逆戻りさせるだろう。日本を含めた世界経済の受けるダメージも非常に大きい。

 財務省によれば10月17日までに上限が引き上げられなければ、デフォルトが現実になってしまう。民主党と共和党がいまだに交渉の枠組みでさえ合意していない現状から見て、残された時間は短い。先行きは極めて不透明である。