2013年

11月

12日

特集:自動車サバイバル 第2部 魅せるクルマ編 自動車レースの変貌 2013年11月12日特大号

 ◇F1新規則がもたらす新境地 「環境技術」の勝負の場に

 

世良耕太

(自動車ジャーナリスト)

 

 ホンダが今年5月、最高峰の自動車レース「フォーミュラワン」(F1)へ2015年から参戦すると発表した。実に7年ぶりの復帰となる。「市販車の環境技術に呼応する新しい(F1の)レギュレーション(規則)は、先進環境技術のリーダーたらんとするホンダの戦略に合致する。大変やりがいのある内容だ」──。ホンダのF1プロジェクトを率いる新井康久・本田技術研究所専務が6月の合同取材会で強調したことが、年間数十億円規模でコストがかかるとみられるF1に復帰を決めた理由を端的に物語っている。

 F1を統轄する国際自動車連盟(FIA)は14年からのレギュレーション変更で、燃費に優れたターボエンジン「過給ダウンサイジングエンジン」と、走行中に廃棄していたエネルギーを回収して電気として再活用する「エネルギー回生システム」という二つの環境技術の導入を決めた。ホンダは新たなレギュレーションに対応する技術の開発に時間がかかるとして1年遅れで参戦するが、マシンの性能とドライバーの技術の争いが醍醐味のF1で、これほどの環境技術の採用を決めたのは例がない。

 FIAがレギュレーション変更を決めたのはなぜか。それは、これまでのF1のエンジンが高出力を追求するあまり、市販車用エンジンの開発にはほとんど役立たない技術となってしまった危機感がある。現在のF1は、排気量2・4リットルの「V型8気筒自然吸気エンジン」を搭載し、排気量自体は市販車のエンジンと比べても格別大きいとは言えない。だが、分速1万8000回転の最高回転数は市販車用エンジンのほぼ3倍。最高出力は約750馬力で、同等の排気量を持つ市販エンジンの3~4倍にも達する。………