2013年

12月

03日

ECB利下げ:予想以上のインフレ率低下 2013年12月3日号

 ◇ECBはデフレ回避に先手打つ

山口曜一郎
(三井住友銀行市場営業統括部シニア・エコノミスト)

 欧州中央銀行(ECB)は11月7日の理事会で政策金利の25ベーシスポイント(0・25%)引き下げを決めた。筆者は今回の決定を英断と評価したい。一部で利下げ反対の声があったものの、最終的に追加緩和に踏み切ったという経緯は、昨年9月のOMT(債券購入プログラム)発表の記憶に重なる。当時も同様に反対派が存在していたが、あの決定がユーロ圏の危機脱出に大きく貢献したのは言うまでもない。
 この利下げを評価するポイントは大きく二つある。

 一つ目は、10月のユーロ圏HICP(消費者物価指数)速報値が、9月の前年比プラス1・1%から2009年11月以来となるプラス0・7%に低下していた点だ。エネルギーや食品価格の下落から、これらノン・コアのインフレが低下することはある程度予想されていたが、下落が予想以上だったことに加えて、エネルギー・食品を除くコアHICPがプラス0・8%と1%未満に下落したことで、インフレの下方リスクが顕在化しているのではないかとの懸念が一気に広がった。11月利下げを支持した理事会メンバーはこのディスインフレ(物価上昇率の低下)圧力を重視し、迅速な対応を主張したと考えられる。
 二つ目は、ドラギ総裁がイニシアチブをとって追加緩和に踏み切った点だ。HICPが非常に弱く、インフレの下方リスクを懸念する声が高まっていた一方で、金融市場では、ECB理事会は合議制で機動力に欠ける、単月の経済指標での政策変更判断を望まないだろう、12月のスタッフ見通しを待ちたがるはず、利下げ余地が小さいため弾をとっておきたがるだろう──といった見方が台頭していた。………