2013年

12月

24日

特集:2014年マーケット総予測 第1部 短期楽観 日本 1~3月がアベノミクスの天王山 2013年12月24日特大号

 ◇不発なら景気失速、株価下落

高田創
(みずほ総合研究所チーフエコノミスト)

「アベノミクスは実体経済に効いていない」「株高だけの期待先行」「地方への波及がない」。これらは、アベノミクスに対してよく指摘される見方である。

 ◇20年のデフレ均衡

 日銀は「異次元の金融緩和」で貸し出し拡大を狙い、金融機関も貸し出し拡大を狙ってはいるものの、企業が動かない限り貸し出し需要は生じない。1990年代以降のバブル崩壊以降の個別企業の生き残りをかけた財務戦略が、貸し出し・投資の低迷と賃金の低下、デフレ状況を招いた。それは企業が長年、習慣化(進化)したバランスシート(貸借対照表、BS)運用と損益計算書(PL)上の運営に伴って生じたものだ。こうした状況は、90年代以降のバランスシート調整で先行き期待が屈折、株式・不動産価格下落で、①BSの両側で資産と債務の圧縮を行うこと、②PL上は円高不安が続き企業がリストラ圧力を続けたことにある。その結果、過去20年にわたる企業のデフレ均衡に陥った。
 このような先行き期待を自ら引き下げた「草食系進化」に伴う企業の財務行動の結果が貸し出しや投資、賃金の低迷である。ただし、こうした企業行動は、過去20年にわたる資産デフレ、円高の環境下でも生き抜く合理的企業行動であった。デフレ脱却の難しさは以上のような行動が20年にわたり企業の意思決定に根強く浸透してしまったなか、元に戻すことの難しさでもある。ただし、この行動バイアスの前提が、資産デフレと円高であるなら過去1年のアベノミクスで、これらの前提が転換した今日、企業行動が前向きになってもしかるべきだ。………