2013年

12月

24日

知られざる福島原発事故の今:総合特別事業計画見直し 除染費減額で東電の負担軽減が目的 2013年12月24日特大号

 ◇原則なき国策は被災者への裏切り

熊谷優二郎
(フリーライター)

 東京電力と原子力損害賠償支援機構が策定する総合特別事業計画の見直し作業が佳境を迎えている。東電と原賠機構は月内の政府提出を目指すが、その内容は市場原理や被災者救済のいずれからも遠ざかるものだ。

 事業計画見直し案は、柏崎刈羽原発6、7号機を2014年7月から再稼働させ、14年度は1000億円程度の経常黒字計上を見込む。経常黒字を定着させることで、7・7兆円もの有利子負債(社債・長期借入金)の返済能力が東電にあることを銀行団に示す。だが、見直し案の最大の焦点となるのは、5兆円規模とされてきた除染費用を減額する動きだ。被災者救済や復興が順調で費用が想定より少ないという理由ではない。東電が支払うという形式を維持するためには、除染費用を減額しなければならないというアベコベの理屈だ。
 合計10兆円を大きく超えるとされる賠償、廃炉、除染という事故費用に対し、株主資本1・8兆円に過ぎない東電は実質的な債務超過になっている。政府はこの矛盾に目をつぶり、生かさず殺さず方式で東電に費用を支払わせ続ける仕組みこそ現行の東電支援策だ。
「国策民営」で原発を推進してきた国の責任を棚上げし、あくまで東電に支払わせるのが基本構造だ。そのため、国が原賠機構を通じて東電の資金繰りを支える。債務超過企業にとって当然の法的整理を東電にさせない。裁判所を通じた債務削減がこの基本構造を崩すからだ。………