2014年

1月

28日

エコノミストリポート:オリンピックと地域紛争 2014年1月28日特大号

 ◇ソチ五輪にかけるロシアの思惑
 ◇カフカスの不満を抑えきれず

廣瀬陽子
(慶応義塾大学准教授)

 ソチ五輪の開幕が2月7日に迫る。その準備額は史上最高の5兆円超といわれ、北極点、水中、宇宙、川を駆け抜ける聖火リレーや101歳聖火ランナーなど史上初の試みや、豪華な会場施設に注目が集まっている。また、2013年に制定した同性愛宣伝禁止法に代表される、プーチン政権が推し進める人権問題に反発して、米国はじめ主要国の首脳が開会式への出席を取りやめていることも話題になっている。その一方で、大会開催をめぐるプーチン大統領の個人的野望や、ソチが位置するカフカス地域の暗い歴史の影が見え隠れする。

 

 ◇大統領の野心

 ソチ五輪は、プーチン大統領の肝煎りプロジェクトだ。2期目の大統領時代、開催地決定の最終投票が行われた2007年7月4日、グアテマラで開催された国際オリンピック委員会(IOC)総会に自ら乗り込み、オイルマネーによる資金力にものを言わせ、当初劣勢だったにもかかわらず、ソチでの開催を導いた。
 当時、プーチンは任期満了で大統領職から退くことが決まっていたが、首相として4年間過ごした後、再び大統領に返り咲き、ソチ五輪を自らの功績として内外に強くアピールし、自らの存在感をより大きくしようと考え、その通りになった。………