2014年

1月

28日

ドイツ:独シュレーダー前首相を再評価 2014年1月28日特大号

 ◇痛み伴う改革で「強いドイツ」築く

丸山俊
(BNPパリバ証券日本株チーフストラテジスト)

 近年のドイツは、世界経済を襲った金融危機や欧州債務危機にもかかわらず、高い経済成長と低い失業率を保っている。背景にはユーロ安をフルに生かせる国内の産業基盤と、研究開発に裏付けられた強い国際競争力がある。主要株価指数「DAX30」の上昇は先進国の中でも抜きんでている。

 欧州連合(EU)では今、現在のドイツ興隆の礎(いしずえ)を築いたとして、1998~2005年にかけて首相を務めたゲアハルト・シュレーダー氏が断行した改革が改めて注目されている。シュレーダー氏の首相就任前のドイツは、東西ドイツ統一の財政負担、硬直的な雇用慣行、増大する社会保障支出が経済成長を妨げていた。シュレーダー政権の政策は「欧州の病人」と揶揄(やゆ)されたドイツを瀕死の状態からよみがえらせた。今の日本に通じるシュレーダー氏の改革とは、どのようなものだったのか。

 ◇労働市場と企業構造にメス

 1989年のベルリンの壁崩壊後のドイツは、東西ドイツ統合に伴う財政負担や社会保障負担の増大、硬直的な労働市場がもたらす労働コストの上昇とそれに伴う競争力の低下によって、低成長と10%を超える高い失業率に喘(あえ)いでいた。シュレーダー氏は、第二次世界大戦後につくられた労働市場政策の基本姿勢を大幅に変えないことには、経済を立ち直らせることは不可能と考えた。………