2014年

2月

18日

経営者:編集長インタビュー 妹尾勲 トライステージ社長 2014年2月18日号

 ◇テレビ通販の「売れる法則」武器に

 

── 事業内容を教えてください。

 

妹尾 テレビショッピングを中心に、ダイレクトマーケティング、いわば通信販売の支援を行っています。通販向け商品の開発から媒体の選定、効果分析、顧客管理など必要な業務を全てサポートします。テレビショッピング事業が売り上げの8割を占めています。

 テレビショッピングの支援事業では業界1位。顧客には、健康食品や化粧品メーカーが多く、福岡市に本社を置く青汁メーカー「キューサイ」や、米国の化粧品通販会社などが主な取引先だ。

 

── 顧客の開拓は?

 

妹尾 最初は大手広告代理店の100%子会社だったので、親会社から顧客を抱えて独立しました。当社の支援で業績が伸びたお客様が、別のお客様に「あそこに頼むと売れる」と紹介してくれたこともあって、設立から4年間は顧客開拓の必要はありませんでした。

 

 ◇顧客売り上げに連動報酬

 

── 大手広告代理店も通販支援事業に参入しています。競争が激しくなっているのでは。

 

妹尾 対象とする消費者を絞らないマスマーケティングを手掛けてきた大手広告代理店は「プロモーションや広告宣伝は売るための要素の一つに過ぎない」と売り上げに責任を持つ意識が希薄で、放送枠を販売するだけです。しかし、メディアを使って販売をするダイレクトマーケティングは、そんな方法ではうまくいきません。当社は、実際に売れる通販番組の企画を徹底しています。

 媒体での告知効果と、実際にモノが売れる販売効果は異なります。顧客に必要なのは販売効果で、視聴率は関係ありません。東京で視聴率1%は21万人以上が同時に見ていることになります。わずか1%でも、ネット上の視聴では実現できない規模です。しかも当社は、放送枠や商品カテゴリーごとの売り上げの傾向を全て把握しています。大手広告代理店はこのデータを持ち合わせていません。積み上げてきたノウハウの違いがあるので、競合しているという認識はありません。

 

── ノウハウの一例を教えてください。

 

妹尾 女性の場合、財布のひもを緩めやすい時間帯があります。子供が寝静まった午前零時ごろ、肌の手入れをしながらテレビを見ている時間帯です。このタイミングで「あなたのお肌の手入れは間違っていませんか」と化粧品を紹介すれば、肌への関心が高まっているので、商品への関心も高まりやすい。番組は「欲しい」、もしくは最低でも「なるほど」「あってもいいかも」と思わせる内容にしておくことが重要。その場では購入につながらなくても、次回に期待をつなぐことができます。視聴者の心理に訴える工夫をしています。

 

 ◇「終活」も商材に

 

── 放送枠は時間帯などを厳密に選んで購入するのですか。

 

妹尾 全て選べるわけではなく、清濁併せのむといった買い方をしないと手に入りません。そのため放送枠の在庫リスクは当社がかぶります。また、顧客の売り上げに責任を持つという方針を掲げ、もし販売実績が目標額を割り込んだ場合は、料金の値引きの対象になります。

 逆に目標を上回れば、その分の報酬を顧客にもらいます。ある会社の広告効果がはかばかしくないときは、当社の他の顧客に切り替えて放送枠を埋めるという了解を放送局に取り付けています。

 

── テレビショッピングの市場は。

 

妹尾 微増です。ただ、ネットに客を取られていると言われていますが、実態は異なります。テレビ通販の主たる客層は60歳以上です。かつてと違い今の60代は自由にネットを使いこなします。当社でも調査を進めていますが、テレビで視聴して、ネットで購入するケースが増えています。テレビショッピング市場の拡大の可能性は十分あるのです。そのためにも、健康食品などの物販から「会員獲得型」のビジネスに広げていく必要があると考えています。すでにスポーツジムの会員獲得で成功例があります。これからは「終活」や通信教育などの商材が伸びると考えています。高齢化に伴い、お墓や高齢者施設、見守りやみとりにかかわる産業が増えていきます。テレビでサービス内容を説明して、フリーダイヤルで資料請求をしてもらうという手法が効果的だと考えます。

 

── 2015年2月期に連結売上高450億円の目標を掲げています。今期の業績予想370億円に比べ2割増。どう達成しますか。

 

妹尾 高い目標ですが、新規事業で120億円を積み上げたいと考えています。一つは、新業種、新領域の顧客の発掘と育成。もう一つはネットへの進出強化です。ネットの参入障壁は高いのですが、テレビとネットの広告の適正配分について独自調査をしました。この結果を武器に、テレビとネットの組み合わせによる売れる戦略を顧客に提案していきたいと考えています。

 CRM(顧客管理)事業も推進します。通信販売では、最初の集客と、何度も買ってもらうリピーターの育成が大事です。企業の多くは後者に悩んでいます。そこで、顧客の分析やダイレクトメールの送付といったCRMを支援します。海外進出にも力を入れていきます。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=望月麻紀・編集部)

 

 ◇横顔

 

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 今のビジネスに出合ったのが30歳少し前。広告代理店の営業マンとして「このビジネスで出世してやる」と遮二無二働いていました。

Q 最近買ったもの

A F1レーサー、アイルトン・セナが乗っていたマシンの模型。70回にわけて毎週届く部品を組み立て、ついに今年1月に完成しました。全長約50センチ。やり遂げた感動で涙が出ました。

Q 休日の過ごし方

A 土日のどちらかは半日ジムです。バーベルを上げていると、頭の中が真っ白になるのがいいですね。

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 ■人物略歴

 ◇せのお・いさお

 東京都出身。1983年明治大学政治経済学部卒業後、大広入社。子会社に転籍し、トライステージの前身にあたる新規事業を立ち上げる。2006年3月にトライステージを設立、同年11月より現職。08年東証マザーズ上場。53歳。