2014年

2月

25日

特集:世界史に学ぶ経済 PART2 これが世界史を変えた エロスと交易 2014年2月25日特大号

 ◇長崎貿易を陰で支えた明朝風装束の遊女たち

 

井上章一

(国際日本文化研究センター教授)

 

 江戸時代の幕府は、外国の船が日本へ立ち寄ることを長らく認めてこなかった。寄港を許したのは長崎だけである。交易を行っていい場所も、ここだけに限らせた。

 ただ、その代わり、この町には外国人をもてなす施設がいろいろ設けられている。郊外の十善寺村に、例えば唐人屋敷が営まれた。出島にオランダ商館と、オランダ人の居留地ができたこともよく知られている。

 海を越えてやってきた外国の男たちは、しばしば女をほしがった。実は、彼らのいだく性欲を満たすための遊女たちも、幕府はあてがっている。丸山の遊郭につとめる娼婦を、唐人屋敷や出島に送り込ませていた。港々(みなとみなと)に女ありという、その女たちを幕府は公的に用意していたのである。………