2014年

3月

11日

経営者:編集長インタビュー 中村利江 夢の街創造委員会社長 2014年3月11日号

 ◇ネット注文で出前、ライバルはコンビニ

 

── 事業内容は。

中村 「出前館」という宅配・デリバリーのネット総合サイトを運営しています。サイトでピザやお弁当などを注文すると、最短30分で温かい食事が届き、決済も終わります。自分の家や職場など注文客が届けてほしいエリアの店舗情報を提供する「地域密着」と「スピード感」が特徴です。我々はサイトに掲載している顧客店舗から月額3000円と、成功報酬として出前館経由の売上金額の5%を受け取ります。

── 注文が入った後の流れは。

中村 大手の宅配ピザ店の場合、出前館経由で注文が入ると、店舗でPOSシステムから注文伝票が出てくるシステムを導入しています。個人営業の店舗は、火や水、油を使う厨房でパソコンを操作して注文を確認するのは難しいため、ファクスで自動受信します。注文に気づいてもらうために直後に自動電話もかけます。注文が集中したりして宅配時間が遅れる場合は、サイトで表示する待ち時間を電話のプッシュ操作で変更できるようにしており、個人経営の中華料理店やおそば屋さんが使いやすい仕組みです。

 

 ◇加盟店1万1500店

 

── 加盟店の数は。

中村 宅配・デリバリーをしている全国約3万店舗のうち1万1500店で、業界トップです。大手だけでなく、個人経営の店も積極的に開拓してきました。競合他社に比べて注文数も圧倒的に多いのですが、私としては、後発組である競合他社とさらに大きな差をつけるべく手を打っています。

 経営手腕を買われて、夢の街創造委員会の顧客企業から取締役に抜てきされた。社長を経験した後、資本提携関係にあるカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)取締役に転出したが、12年夢の街に戻った。当時の経営陣との間で経営権を争う事態にも発展した。

── CCC取締役に転出後戻ってきたのは。

中村 前の経営陣に経営を託す際、「増収増益」を約束したのですが、増収減益になり顧客志向も置き去りにされました。それで会長として戻ってきました。ところが減配の責任をとって役員報酬を減らそうとしたところ反発を受け、解任されそうな事態となりました。そこで、役員を刷新する修正動議を株主総会に提出した結果、社長として復帰することができました。

── 「顧客志向を置き去りにした」とは。

中村 当社のサイトは顧客の満足度に支えられています。加盟店は、地域で独自にチラシを印刷して配るより安く、ユーザー(注文者)は店舗を比較できます。注文してから何分で届くかも分かって便利です。加盟店、ユーザーどちらにもメリットある仕組みを強化することで、上場も果たせました。顧客満足度を上げ続けなければ、当社の成長はありません。ところが前経営陣は、ネットを使わないまちのおそば屋さんにも、当社からの請求書をウェブ上でダウンロードしてもらうと決めました。封書で送る社内の手間、コストを省くためです。これでは顧客志向とは言えません。

 

 ◇コンサルで支援

 

── 会社をどう変えましたか。

中村 加盟店の売り上げを増やすためのコンサルティングを始めました。ポータル(玄関)サイトを運営しているので、売れている店と売れていない店の違いはデータで分析できます。売り上げが少ない店には、配達エリアの見直しを提案したり、品ぞろえや価格についても助言できます。データを示した客観的な助言には、加盟店も耳を傾けてくれます。

── 人工知能による情報分析技術を持つベンチャー企業「タメコ」と2月に資本提携しました。

中村 出前館の購買履歴データをタメコの人工知能システムで解析して、ユーザーに商品を推薦する「レコメンド」を行います。ユーザーがうるさく感じない心地よいレコメンドで、売り上げを増やす。今夏の稼働を予定しています。

── 人口減少の影響は。

中村 当社にとっては逆風ではありません。中食(なかしょく)業界は1兆7000億円の市場。食品の宅配市場は年4%の伸びです。一人暮らしが増えて家庭で調理をしなくなっています。出前を利用するか、コンビニエンスストアで買って帰るか、つまりコンビニとの戦いになってきました。出前館のサイトの認知度はまだ26%なので伸ばしていきたい。加盟店も1万5000店まで増やしたいと考えています。

── 注文客の年齢層は。

中村 8割が20~40代です。これからシニア向けのサービスを強化します。既存の配食ビジネスでは、何日も前に注文する必要があります。その日に食べたいものを注文して食べられるサービスを加盟店と一緒に作っていきます。

── 飲食店向けに焼酎を販売している「薩摩恵比寿堂」(鹿児島市)を傘下に収めたのは?

中村 電話注文だけで年商20億円の会社です。同社のコールセンターの能力を統合することで、シニアユーザーからの電話での出前注文にも対応していきたいと考えています。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=望月麻紀・編集部)

 

 ◇横顔

 

Q 女性が働き続けるために必要なことは

A 仕事も家事も優先順位を付けることが大事だと思います。昨年就職した子どもが小さい時は、夜は早めに仕事を切り上げていました。

Q 最近買った物

A キンドル(電子書籍端末)。主にマーケティングの本を読んでいます。

Q 休日の過ごし方

A 休日が2日ある場合は1日は仕事、もう1日は家事。平日は東京で過ごし、週末に大阪の自宅に戻ります。夫が一人で暮らしている部屋は、片付けなければ大変なことになっているので。

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 ■人物略歴

 ◇なかむら・りえ

 富山県生まれ。1988年関西大学文学部卒業後リクルート入社。結婚退職後、ほっかほっか亭総本部の親会社ハークスレイを経て2001年夢の街創造委員会取締役。02年同社社長。10年カルチュア・コンビニエンス・クラブ取締役に転出後、12年9月に夢の街に戻り同年11月から現職。49歳。