2014年

3月

25日

経営者:編集長インタビュー 浅田剛治 ノバレーゼ社長 2014年3月25日特大号

 ◇独自のハウスウエディングを開拓

 

 全国の地方都市を中心にハウスウエディングを展開する。重要文化財での挙式などブライダル業界では独自の地位を築いている。

 

── ブライダル業界の環境は。

 

浅田 この20年で大きく変わりました。20年前は結婚式場と言えばホテルや専門式場がほとんどでした。

 しかし、1990年代ごろから海外挙式やレストランウエディング、一軒家貸し切りで式を行うハウスウエディングなど新しいスタイルも出てきて、お客様の選択肢が増えました。その数も、専門式場が4割、ホテルが3割、残りの3割がハウスウエディングというように変わり、お客様の結婚式への志向が多様化しています。これに対応できないホテルや式場は苦戦するようになった、というのがこの20年の流れです。

 

── 景気や少子化の影響は。

 

浅田 景気が悪くなると挙式の費用を抑える人もいますが、ご祝儀の額はほとんど変わらないので、挙式の単価自体は景気に左右されることは少ないです。また、婚姻組数は毎年70万組前後と横ばいで、今のところ少子化の影響はありません。しかし、新婚の4割が挙式をしません。この層の掘り起こしも必要ですが、ブライダル企業はどこも、挙式をする6割を取り込もうと必死です。

 

── どう取り込んでいきますか。

 

浅田 当社のウエディング事業は、今年末までにオープン予定の1店舗含めると全国に26店舗あります。ハウスウエディングが8割、専門式場が2割と、ハウスウエディングに注力しています。結婚式では、新郎新婦が式場、ウエディングドレス、料理など何を重視するかは、それぞれ違います。そこで、特に新婦の心をどうつかむかが重要です。

 新婦は挙式で、できるだけ多くの人に幸福感をアピールしたいという気持ちが強いものです。ハウスウエディングはそうしたニーズに応えることができます。1日に何組も式が行われるホテルウエディングよりは、大きな敷地と建物を借り切った挙式の方が華やかだからです。当社の価格設定は平均430万円と、日本の平均の280万円に比べて高めですが、特別な挙式がしたいというお客様に選ばれています。

 

── ハウスウエディングを手掛けたきっかけは何ですか。

 

浅田 父親が経営する専門式場で働いていた1998年、まだハウスウエディングがなかったころに、そういうスタイルなら売れるのではないかと思って1件だけ手掛けました。独立後、結婚式のプロデュース会社を仲間4人と立ち上げ、ある料亭と契約しました。料亭での挙式という目新しさから評判になり、年間120組を受注しました。ただ、売れすぎたことで、料亭の経営者から「自分でできる」と契約を解除されてしまいました。それが転機となり、自分たちで独自性のある結婚式場を作ろうと考えたのです。

 

 ◇女子学生の人気職種

 

── 他のハウスウエディング会社と、どう差別化していますか。

 

浅田 第一はハードウエア、つまり、建物の立地、外観、内装などを、いかに新郎新婦の希望に近づけるか、第二は、料理、ウエディングドレス、スタッフの接客などソフトウエアの部分の質を高めることです。これは企画力などの差が出るため、人材確保が重要です。

 今、就職活動をする女子学生の間では結婚式をプロデュースするウエディングプランナーの仕事が、アナウンサーやキャビンアテンダントに次ぐ人気職種になっています。当社には昨年、約4万人のエントリーがあり、実際の志願者は8000人を超えました。

 

── ハードの部分では、大阪市の旧桜宮公会堂など重要文化財での挙式も手掛けています。

 

浅田 古い建物は、魅力があるから残っているわけです。コスト度外視で丁寧に作られたものが多く、それが、かえって新鮮さを感じさせます。挙式した場所がずっと残るという期待感にも応えられます。

 重要文化財を改装して式場にするのにはノウハウを必要とします。古い建物を改装する際は、柱や天井の状態によっては剥落の危険もあります。改築・改装の費用の見積もりを出すのは容易ではありません。改築に時間がかかるので、資本面での体力も必要です。例えば、金沢市指定文化財「辻家庭園」の改修費用は約8億円でした。安くはないですが、他社が容易に参入できないため完全な差別化になり、挙式数の増加という形で返ってきています。

 

── 今後の経営戦略は。

 

浅田 ハウスウエディング会場の新築と重要文化財の改築を並行し、年間3、4店舗ずつ増やしていく予定です。東京や大阪など大都市圏への出店は少なく、その開拓はこれからの課題です。ただ、大都市は需要が多い半面競合企業も多く、家賃も高めで難しい面があります。一方、地方は競合が少なく、家賃も安い。結婚式に呼ぶ人数が多く、式の単価が高いという傾向もあります。

 人口30万人程度の都市では、周りの市町村の需要も加わり、おおよそ年間3000組の挙式が見込めます。そうした都市が全国に70カ所ほどあり、そこに店舗を展開していく計画です。ハウスウエディングの場合、1店舗でこなせる挙式数は1日2件、年間で最大200組程度ですが、採算が取れる150組が目標です。売り上げよりも、独自性を失わないことが大切です。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=大堀達也・編集部)

 

 ◇横顔

 

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか?

A 父親の会社を辞め、30歳でこの会社を作りました。もうからなくても好きなことをやろうと思いました。気が付いたら雪だるまのように会社が大きくなっていた、あっという間の10年でした。

Q 最近買ったもの

A ソニーの新型家庭用ゲーム機「プレイステーション4」をネット通販のアマゾンで買いました。家電など新しいものが好きで、家電芸人ならぬ家電社長です。

Q 休日の過ごし方

A 社員と飲むか、ゲームをするか映画を見るかです。ゴルフなどいわゆる「社長の付き合い」は一切しません。

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 ■人物略歴

 ◇あさだ・たけはる

 大阪府出身。慶応義塾大学商学部卒業後、1992年リクルートに入社。93年東海会館華寿殿(現シャンテ)入社。2000年ワーカホリックを設立し社長に就任。02年ノバレーゼに社名変更。06年10月東証マザーズ上場。10年12月東証1部上場。44歳。