2014年

4月

15日

経営者:編集長インタビュー 金子俊治 東洋製罐グループホールディングス社長 2014年4月15日特大号

 ◇付加価値高い容器作る

 缶、ペットボトルなどさまざまな包装容器を年間、数百億個製造し、業界で抜きんでた国内シェアを持つ。

── 主力の包装容器は、幅広い商品ラインナップです。

金子 包装容器は当グループの87%を稼ぐ事業の柱です。各容器の比率は金属容器とプラスチック容器がそれぞれ約30%、紙容器が約10%、ガラス容器が約5%という内訳です。

 金属容器では鉄やアルミを使った食缶や飲料缶とそのキャップ類、スプレーに使うエアゾール缶などがあります。プラスチック容器はペットボトルと洗剤やシャンプーなどを入れるオレフィンボトル、紙容器は紙コップに段ボール、ガラス容器はビールなどのドリンク瓶のほかグラス、皿といった食器類も作っています。
 また、飲料やスプレーの中身を容器に詰める受託充填事業や、容器を作る機械、充填システムそのものの製造・販売も行っています。包装容器だけでなく、それを取り巻く技術開発も含めた総合的な事業を展開しています。

 ◇水を使わない「タルク缶」

── 最近はコンビニのコーヒーが人気ですが、ニーズの変化にどう対応していますか。

金子 さまざまな素材について基礎研究をしていますので、新たなニーズについて、どういう容器作りをすればいいかは常に考えています。例えば、表面に凹凸を持たせることで持っても熱くないコーヒーカップなども当社で研究・開発しました。容器の形態が変われば、生産機械も必要になりますが、当グループではそうした設備を自社内でも製造しており、お客様の増産の要望などにも、柔軟に応えることができます。
 食品や飲料の容器は、いかに酸化を防ぐかが重要です。封入酸素量をより減らすような容器作りをしています。また、容器と充填技術は常にセットで、お茶やコーヒーなどを脱気をしてから充填する試験ラインも自社内に持っています。殺菌技術も重要で、ペットボトルなどは中身を詰めた後には高温殺菌ができないので、完全な滅菌環境で充填する方法もあります。
 従来の飲料缶の製造ラインは、缶の洗浄のために大量の水を使いますが、当社は製造時に水を全く使わず、コストと環境負荷を大幅に削減できる「タルク缶」も開発しました。これは当社独自の技術で特許を取得しています。ただ、世界で作られる飲料缶のうち、タルク缶が占める割合はまだ少ないです。製造コストを下げるためにもライセンス先を増やさなければなりません。

 1917年に東洋製罐を創業した高碕達之助氏は、容器を作るために、材料となる鋼板、機械設備を作る会社や、缶詰充填を学ぶ学校も立ち上げ、総合的な包装容器事業を構築した。
 戦時中は軍事物資に回された鋼板の不足を補うために、いち早くプラスチック容器の製造にも乗り出した。戦後、紙やガラス容器へと領域を拡大。最近は容器作りで培った技術を応用し、磁気ディスク用アルミ基板など機能材料も販売している。

── 包装容器以外では機能材料事業が前年比30%増と伸びています。

金子 事業比率の4%を占める機能材料は、包装容器の開発過程で派生した事業です。容器には、中身の酸化や容器自体の腐食を防ぐために、さまざまな膜をコーティングします。その技術を活用して、液晶用の光学用フィルムなど機能材料を製造しています。
 また、容器に塗装する無機材料の研究から、瀬戸物に塗る釉薬(ゆうやく)や顔料も開発しました。表面を平滑にする釉薬は、水回り製品に使われます。例えば便器に釉薬処理をすることで、汚物が流れやすくなって水の使用量が減り、黄ばみも少なくなります。釉薬は陶器メーカーなどに販売しています。

── 包装容器はリサイクルが重要な課題ですね。

金子 鉄やアルミの缶は業界を挙げてリサイクル運動をしており、リサイクル率は90%を超えるまでになりました。一方、ペットボトルのリサイクルは、さまざまな不純物を取り除く必要があります。当社の子会社のペットリファインテクノロジー(神奈川県川崎市)は、ペットボトルを化学的に粗原料に戻すケミカルリサイクルを手がけています。その量は年間2万トンで、年間20万トンに上る日本のペットボトルの需要の1割に当たります。

── 今後の経営戦略は。

金子 これから世界的な人口増加に伴って包装容器の需要が増えるので、海外での生産比率を2015年度までに15%まで上げるのが目標です。
 基本は高付加価値の追求で、タルク缶はじめ他社が作っていない商品開発を目指します。例えば、飲料缶は「イージーオープン」が重要で、技術畑だった私は開けやすい蓋の開発に当たりました。
 当社は包装容器で世界6位の規模ですが、金属、プラスチック、紙、ガラスをバランスよく手がけているのは上位企業では当社だけです。その強みを生かし、海外企業と連携しながら成長を図っていくつもりです。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=大堀達也・編集部)

 ◇横顔

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか
A 米国に派遣されて、いろいろな経験を積みました。2011年に買収した米大手製缶機械メーカーのスターリは、そのころから取引していた会社です。それがあったから買収をまとめることができたと思っています。
Q 最近買ったもの
A 娘のハワイでの結婚式用にアロハシャツを買いました。
Q 休日の過ごし方
A 週に3、4本録画しておいた経済番組を、まとめて見ます。また料理が好きで、煮物やグラタンなど、いろいろなものを作ります。
………………………………………………………………………………………………………
 ■人物略歴
 ◇かねこ・しゅんじ
 1971年早稲田大学理工学部卒業後、東洋製罐(現東洋製罐グループホールディングス)に入社。千歳工場長、技術本部長、副社長などを経て、2009年6月社長に就任。65歳。