2014年

4月

29日

特集:震激NHK 揺れる世界の公共放送 2014年4月29日号

 ◇人事や予算で政治が揺さぶり 海外の公共放送も独立性に悩み

 

大河内まき/熊谷徹/土方細秩子

(ジャーナリスト)

 

 公共放送NHKと政権の距離の問題が再燃している。安倍晋三首相が官房副長官だった2005年、従軍慰安婦問題を取り上げたNHKの番組をめぐって、この問題が表面化したことがあった。そして今また、安倍首相の支持者が経営委員に就任し、籾井勝人(もみいかつと)会長が今年1月の就任会見で政治権力に迎合し、報道機関の役割を放棄するかのような発言をした。

「国際放送で尖閣、竹島など領土問題について明確に日本の立場を主張するのは当然だ。政府が『右』と言うものを『左』と言うわけにはいかない」。籾井会長はこの発言で自らの立場を決定的に誤った。批判を浴び、「個人的な見解」だとして取り消した。しかし、2月の衆院総務委員会では、発言は取り消しても個人的見解を変える気はないことも明らかにしている。

 この籾井会長をNHKに押し込んだのは政財界筋だ。NHKの積極的な原発報道などへの不満から前会長、松本正之氏(JR東海特別顧問)を辞任に追い込んだとされる。そして、最終的に籾井会長を選んだNHKの経営委員会も、委員12人のうち5人は昨年末までに政府から任命された「安倍カラー人事」だ。………