2014年

4月

29日

電力:担保付き債券で銀行と政府が対立 2014年4月29日号

 ◇巨額資金不足で東電存続に黄信号

 

小野展克

(嘉悦大学教授)

 

 東京電力再建の肝を握る資金繰りの見通しが厳しくなってきた。複数の関係者によると、東電の事業継続には2015年度に2800億円規模の新規の資金調達が必要だが、その見通しが立っていないという。

「銀行から融資を得られないと15年6月には資金繰りが持たなくなる」と、ある東電関係者は話す。

 ◇緊急融資は残高維持せず

 

 銀行が追加融資に二の足を踏んでいる原因が、金融機関の融資に担保を付与する「私募債スキーム」を巡る、政府と銀行の対立である。昨年末から経済産業省・資源エネルギー庁と、三井住友銀行など主力行の間で、私募債スキームを含む東電への融資の取り扱いを巡り、激しい駆け引きが繰り広げられている。

 東電存続の生命線である柏崎刈羽原発の再稼働は、銀行による追加融資が大前提だ。しかし、原子力規制委員会による厳しい安全審査や地元の泉田裕彦新潟県知事の反発もあり、再稼働のめどは立っていない。今年7月の再稼働を念頭に置いた総合特別事業計画(再建計画)は「絵に描いた餅」との指摘も広がっている。東電としては、是が非でも銀行から追加融資を引き出さなければならないが、原発事故の賠償、除染、廃炉に加え汚染水対策が財務に重くのしかかる東電に、進んで融資する銀行はない。そこで銀行と東電が編み出したのが私募債スキームだった。………