2014年

5月

13日

特集:ロシアの論理 政治 2014年5月6・13日合併号

 ◇領土拡張へと駆り立てる大国主義と被害者意識

 

袴田茂樹

(新潟県立大学教授)

 

 プーチン大統領は3月18日、クリミアをロシアに併合すると宣言して、力による他国領土の併合などあり得ないと信じていた世界の国々に大きな衝撃を与えた。さらに現在はウクライナの東部、南部も親ロシア派が行政府を占拠している。今では、クリミアだけでなく、ウクライナ全体がロシアの勢力圏になるか否かが問題となっている。

 ロシアの行動の背景を歴史的観点から考察すると、一つの傾向があることがわかる。ポーランドからウラジオストクまでの大帝国を支配した帝政ロシア、さらには社会主義陣営を支配したソ連の指導部や国民の意識や心理には、注目すべき特色がある。それは、「偉大なロシア」の拡大強化という大国主義あるいは帝国主義の心理と共に、対外的な被害者意識、防衛意識、恐怖心という、一見矛盾にも思える心理が強く働いているということである。………