2014年

5月

13日

特集:大著を読む 現代のウクライナ問題の理解を深める歴史書 2014年5月6・13日合併号

 ◇『対比列伝 ヒトラーとスターリン』全3巻 アラン・ブロック(鈴木主税訳、草思社)

 

下斗米伸夫

(法政大学教授)

 

 ソチ五輪の余韻もどこへやら。世界はウクライナでの2月、ヤヌコビッチ政権の崩壊(マイダン革命)から、ロシアのクリミア併合を経て、今や新冷戦へ動いているという説まである。ソ連崩壊後の中欧・東欧は民族紛争やEU拡大以外はあまり関心を引かなかった地域だが、今果たして何が起こっているのか。

 なかでもウクライナは、10年前の「オレンジ革命」とは異なって流血の権力奪取へと至った。これは果たして「民主化革命」なのか、それともロシア側がいうクーデター、いな「ファシスト蜂起」なのか。暫定政権で権力を握ったのは誰なのか。

 

 ◇歴史は終わらなかった

 

 欧米諸国でプーチン大統領のクリミア併合はヒトラーが行ったオーストリア併合と同じだといえば、ロシア側も暫定ウクライナ政権周辺の民族急進派こそ暴力的なファシストと切り返す。侵略とかファシズムという言葉がマスコミでも久しぶりに舞っている。 ………