2014年

5月

13日

特集:歴史に学ぶマネーと経済 ここが気になる7 2014年5月6・13日合併号

 ◇ビットコインは通貨になる? 政府が悪貨を追認した歴史もある

 

高木久史

(安田女子大学文学部准教授)

 

 東京に拠点を置く大手取引所マウント・ゴックスの破綻で、物議を醸しているインターネット上の仮想通貨「ビットコイン」。通常の通貨と異なり、国家の裏付けがないのが大きな特徴だ。日本政府は「ビットコインは通貨に該当しない」との見解だが、歴史上、民間が独自に生産した通貨を政府が採用・追認することは珍しくなかった。

 古代日本の朝廷は中国をまねして銭(ぜに)を発行した。銅を主な素材とする円形で四角い穴がある薄っぺらのかたまりで、一般的には「和同開珎(わどうかいちん)」など銘文が施されていた。中国や日本など東アジア各地で発行された銭は、その後も東アジア各地で通貨として使用され続けることになるが、たいてい額面価格が金属としての素材の取引価値を上回っていた。信用や政治権力を価値の裏付けとする「名目貨幣」の走りとも評されるもので、その素材価値と必ずしも関係なく銭は授受された。………