2014年

5月

20日

特集:税務調査がやって来る! Part1 相続税編 2014年5月20日号

 ◇「税務調査」とは何か 相続増税で対象者も増

 

桐山友一

(編集部)

 

「税務署から自宅にうかがいたいと連絡がありました」──。

 慌ただしく相続税の申告・納付を終えてから1年~1年半後。ほっと一息ついたころ、相続税の申告を依頼した税理士からそんな電話がかかってくることがある。それが相続税の税務調査だ。

 相続税の申告は「一部の富裕層のもの」という時代は終わった。2015年からの相続増税では、基礎控除が現在の「5000万円+1000万円×(法定相続人数)」から、「3000万円+600万円×(法定相続人数)」へと引き下げられる。基礎控除とは相続財産がその範囲内であれば相続税が課税されない金額だが、法定相続人数を3人とすると8000万円から4800万円へと大幅に引き下がる。この影響は計り知れない。

 税理士法人レガシィ(東京・千代田区)の試算によれば、東京国税局管内では相続増税後、相続税の申告対象者の数は約10万3000人と改正前に比べて2・1倍に増える見込みだ。同局管内の年間死亡者数の約45%に相当し、相続税の申告対象者となる可能性は格段に高まった。一方、国税庁は毎年、相続税の課税対象となった被相続人(亡くなった人)の約3割に対して税務調査を実施している。言い換えれば、相続税の税務調査を受ける可能性も高くなっているのだ。

 

 ◇最も狙われる「現金」

 

 税務調査とは、納税者が提出した申告書の内容に誤りがないか、帳簿などを調べて確認すること。被相続人の自宅が税務調査の中心だ。納税者の同意なく帳簿などを調べたりすることはできないが、国税調査官には「質問検査権」という強い権限が与えられている。求められた書類の提出を拒んだり、ウソをついた場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されてしまう。

 調査官はこの権限をフル活用し、納税者にさまざまな質問を投げかけたり、書類などの提出を求めてくる。被相続人の生前の状況や相続人との関係、通帳や印鑑、日記帳などを確認し、プライベートにまで踏み込んで申告漏れがないかを探っているのだ。税務調査の結果、申告漏れなどの指摘に従う場合は修正申告するが、指摘に沿った本来の税額の納付に加え表のような追徴が課される。

 国税庁によると、相続税の申告漏れで最も多い財産は「現金・預貯金」。有価証券と合わせ半分を占めている。名義を書き換えたり、物理的に存在を隠しやすいからか、常にその傾向は変わらないだけに「国税調査官が最も狙っているポイント」(国税関係者)だ。むしろ、不動産に認められた制度を駆使して相続税評価額を下げる方法が数多くあり、税理士法人レガシィ代表社員の天野隆税理士は「不動産の評価額をいかに下げるかが相続税対策として有効だ」と指摘する。