2014年

6月

03日

エコノミストリポート:タイでクーデター 反タクシン色強める憲法裁判所 2014年6月3日特大号

 ◇政治混乱収拾の見通し立たず

今泉慎也
(JETROアジア経済研究所主任研究員)

 タイの憲法裁判所は5月7日、インラック・シナワット首相(タイ貢献党)の失職を宣告した。この事件は2011年9月の閣議で承認されたタウィン・プリアンシー国家安全保障会議事務総長の異動を不正とする行政裁判所判決が2月に出されたことから、上院議員のグループが請求したものである。この判決によって首相のほか当時の閣議決定に参加した9人が失職した。残った閣僚のなかからニワットタムロン・ブンソンパイサーンが首相代行に選ばれた。13年10月から大規模な反政府運動が続いており、インラック首相の失職で政権側はさらに追い詰められることとなった。

 タイにおいては06年のクーデターで追放されたタクシン・シナワット元首相を支持する勢力とそれに反対する勢力との政治対立が続いている。一方の勢力が政権につくと他方の勢力が街頭での大規模な抗議行動で圧力をかける悪循環だ。11年8月に発足した、タクシン元首相の実妹によるインラック政権は政治対立の解消を模索してきたが、13年の恩赦法案の提出が引き金となり大規模な反政府運動に直面することとなった。

 ◇恩赦法案で反タクシン再燃

 恩赦法案はもともと政治対立と関連して逮捕された政治犯などを免責することで和解の糸口としようとするものであったが、海外逃亡生活を続けるタクシン元首相を免責しようとするものと受け止められた。下院が13年10月31日可決したが、政府は11月7日に取り下げた。上院でも同法案は、11月11日に否決された。………