2014年

6月

17日

特集:とことん学ぶ通貨と為替 Part2 歴史は語る 基軸通貨の変遷 2014年6月17日号

 ◇蘭・英・米が生み出した基軸通貨 覇権の裏に巨大金融市場の存在

 

根本忠宣

(中央大学商学部教授)

 

 基軸通貨とは、「キーカレンシー」と言われるように鍵となる通貨であり、具体的には国際的取引における計算単位や決済通貨としての役割を果たすとともに、外貨準備として第1位に保有される通貨である。取引主体から基軸通貨として認められるようになると、当該国以外の貿易決済において「媒介通貨」として使用される。歴史上これに該当する通貨は三つある。オランダのギルダー(グルテン)、英国のポンド、米国のドルである。

 近代世界システム論を提唱した米社会学者ウォーラーステインは、これまでに三つの覇権国が出現したとしている。17世紀オランダ、18世紀英国、20世紀米国である。覇権国とは、端的に言えば圧倒的な軍事力、経済力を裏付けとして、国際関係の基本的枠組みを決定できるパワーを持つ国家である。

 覇権国が制度的に基軸通貨を流通させたわけではないが、結果的には、時の覇権国の通貨が、基軸通貨に位置付けられてきた。

 

 ◇欧州制したオランダ商人と船

 

 オランダが欧州で頭角を現したのは、英西戦争(1585~1604年)で英国に無敵艦隊を破られたスペインの衰退がきっかけである。スペインを後ろ盾としていたイタリアの商業都市ジェノバの金融業者や、ベルギーの河港都市アンベルス(アントワープ)の商人と資本家が大挙してアムステルダムへと移住、彼らによって、商業・貿易ネットワークが構築された。それを支えたのが、①優れた造船技術と海運力、②アムステルダム振替銀行や証券取引所──の存在である。………