2014年

6月

24日

エコノミストリポート:法人税 的外れの税制改革 2014年6月24日特大号

 ◇法人税率引き下げは今は不要 既存の投資減税で十分

 

國枝繁樹

(一橋大学国際・公共政策大学院准教授)

 

 法人税減税を巡る議論が佳境を迎えている。今年1月にスイスで開かれた世界のリーダーが集まるダボス会議の基調講演で、安倍晋三首相が法人税減税に言及したのをきっかけに、経済財政諮問会議や政府税制調査会で本格的な議論が始まった。

 しかし、その一方で、昨年秋には、消費税率引き上げに伴う「経済対策パッケージ」の一部として、投資減税の形での法人税減税が既に実行されており、その中には、生産性を向上させる設備に対する即時償却という非常に大胆な投資減税が含まれている。即時償却とは、通常の減価償却と異なり、投資時点で課税所得からの控除を全額認める(課税しない)制度である。

 今議論されているのは、法人税率引き下げという形での法人税減税をどの程度導入するかという点だが、理論上は、即時償却制度の下では、法人税率の引き下げを実施しても、投資が促進されないことが明らかになっている。つまり、現在行われている投資減税を実施している間は、基本的には、法人税率の引き下げは不要なのである。………