2014年

7月

01日

安楽死:子供への安楽死を認めたベルギー 2014年7月1日号

 ◇その国民性と充実した末期医療

谷口長世
(国際ジャーナリスト)

「この人殺したちめ!」。ベルギー議会下院の傍聴席で叫び声を上げた男性が衛視に連れ出された。
 2014年2月13日、ベルギー議会下院は、世界で初となる年齢の下限を設けずに子供の安楽死を認める「拡大安楽死法」を、賛成86、反対44、棄権12で成立させた。後述するように、オランダ(12歳以上が対象)やルクセンブルクも安楽死を認めているが、年齢制限なく安楽死を認めるのはベルギーが世界で初めてである。

 この日、首都ブリュッセルの中心にある国会裏手の公園は「殺さないで!」「ケアを!」と抗議のプラカードを掲げた小児科医や看護師ら数百人のグループで埋め尽くされた。
 世界で初めて安楽死を認める法律を成立させたのはオランダ(01年成立、翌02年施行)で、ベルギー(02年成立・施行)、さらにルクセンブルクが続いた(09年成立・施行)。ベネルクス3国は、いわば安楽死“先端国家”とも言えるのである。
 ベルギーの今回の子供にも安楽死を認める法律は、急に出てきたわけではない。オランダと同様に長い年月をかけて議論を重ね、現実に安楽死を望むという人も国民が見聞きしてきた結果、今日の結論にたどりついたのだ。ベルギーでは12年、計1432件の安楽死が報告されている。………