2014年

7月

01日

FLASH!:イラク危機 バグダッドに迫る過激派勢力 2014年7月1日号

 ◇「テロとの戦い」の破綻示す

髙岡豊
(中東調査会上席研究員)

 イラクでイスラム教スンニ派の過激派武装組織「イラクとシャーム(シリア)のイスラム国」(ISIS)が支配地域を急速に拡大している。6月に入って北部の主要都市モスル、ティクリートなどを占拠して、首都バグダッド近郊に迫った。シーア派を支持基盤とするマリキ政権は窮地に陥り、米国に空爆を要請。国際社会を巻き込んで情勢は緊迫している。

 ISISは、過激な闘争方針や極端な教義の実践が社会から拒絶され、2006~08年ごろは支持を失っていた。だが、隣国シリアの内戦に反体制側として参戦したのを機に、近隣の湾岸諸国、チュニジア、リビアなどから武器や人的援助を得て、イラク国内での活動も復調した。ただ、勢力を拡大した現在も、現地の住民に支えられているとは言いがたく、最終的にイラク全土を掌握する可能性は極めて低いと思われる。

 ◇民主化失敗の結果

 この事態は突如起こったわけではなく、イラク戦争以降の政策の破綻が積み重なった結果である。
 第一は、議会制民主主義の破綻である。マリキ首相は6月12日、イラクの国会に対し、非常事態宣言を布告する本会議を開催するよう要請、本会議が招集されたが、出席数が足りず不成立となった。これは、イラクの議員たちが、自身の存在の根拠となるはずの国会本会議をないがしろにしている証しである。………