2014年

7月

08日

経営者:編集長インタビュー 丹羽真清 デリカフーズ社長 2014年7月8日特大号

 ◇カット野菜で外食産業をサポート


 東京、大阪、名古屋を中心に飲食店約1万店舗に「カット野菜」やカットしないそのままの形の「ホール野菜」を配送する「業務用の八百屋」。東証2部上場企業で業界最大手。取引先の55%はファミリーレストランで、以下、中食産業、ファストフード、居酒屋向けも多い。

── 1979年の創業時から今のビジネスモデルだったのですか。

丹羽 そうです。外食のお店では、在庫や食材を運んだ段ボール箱などがなければその分席を増やせると、創業者が外食のお客様から教えられたのがきっかけです。外葉を取って、必要な部分だけすぐにお皿に盛れる状態で持ってきてほしいと。カット野菜であれば、1袋で10人前など原価計算も簡単ですし、冷蔵庫の中での整理もしやすい。今はホール野菜が売り上げの6~7割を占めますが、これは要望があって後から扱うようになったもの。当初は、普通の八百屋さんにはできないことをしよう、という考え方でした。

 ◇機能性で野菜を売る

 

── 単に野菜を売るだけではなく、野菜の機能性に着目した研究を重ね、顧客企業にメニュー提案をしています。この狙いは?

丹羽 野菜を形や色つや、大きさではなく、人の体に働きかける力で評価したいと考え、この会社に来る前にデザイナーフーズという研究所を立ち上げ、15年間研究をしてきました。そのエビデンス(証拠)をもとに、メニューを提案しています。

 外食産業では1年間同じメニューのところが多いですよね。例えばホウレン草のソテーを年中出しています。でも、本当にホウレン草を食べたほうがいいのは1~3月で、逆に6~9月は食べないほうがいい。それを抗酸化力やビタミンCの含量などの数値で示しています。

 抗酸化力のほかにも、免疫力、解毒力といった野菜が持つ力を生かし、それらが最も高くなる旬の野菜を使うメニューを考案しています。

── そういう提案に乗ってくる外食企業もある一方、コスト重視のところもあるのでは。

丹羽 畑でできる野菜には、大きさや味などに幅がありますから、そこはお客様の要望に合った野菜をマッチングしています。

 一部の外食では客単価が上がってきていますし、お客様の健康ニーズも強まっています。そういうお店は、食材を厳しく吟味し、付加価値の高いメニューを提供しようという意識が高いです。我々と同じ問題意識を有する外食産業のトップの方とは、次の時代の外食産業のあり方を一緒に検討させていただいています。

── 野菜の仕入れはどこから?

丹羽 約6割を契約農家から仕入れて、残りは青果市場からです。もう少し契約農家からの仕入れを増やしたい気持ちはあるのですが、市場価格が安くなったときに、仕入れ値と売り値のバランスが悪くなるので、6割くらいに抑えています。

 それに市場から買うメリットもたくさんあります。天候不順のときを考え、契約農家は全国に分散させていますが、それでも天候によっては量を確保できないことがあります。その場合、日本全国、場合によっては海外から調達できます。今まで全く扱ったことがない野菜の情報を得られるのも、市場ならではです。

── 配送センターも進化しています。

丹羽 野菜にとっていちばんのストレスは温度変化と乾燥です。新しい配送センターでは、入荷から出荷まで完全に1~4度の状態に保って鮮度を維持します。外食では欠かせないカットレタスの工程は、カットから包装まで、全面自動化しました。

── 賞味期限が延ばせるわけですね。

丹羽 顧客企業には365日無休で野菜を配送しますから、本来、賞味期限を延ばす必要はありません。ただ予想どおりお客様が来店されるとは限りませんから、3日間は鮮度を保つようにしています。

 

 売り上げの半分を占める東京地区では外食向けのさらなる伸びが期待できる一方、大阪・名古屋地区では、スーパーマーケット向けの展開も検討中。消費者向け販売も試みている。

 

── 個人向けの販売にも乗り出しています。

丹羽 東京・六本木のアークヒルズにベジマルシェという店を出し、機能性をアピールした野菜の販売をしています。ネット経由の宅配も始めました。

 これからは医者向けの販売にも力を入れていくつもりです。医者や管理栄養士にまず食べてもらって、旬の野菜を食べる良さを理解してもらったうえで、患者にも薦めてもらう、という流れを考えています。

── 社長をされていた研究所が10年前にグループ会社化されたのを機に取締役に就任。そして昨年4月に社長に指名されました。この意味をどう受け止めていますか。

丹羽 当社はこれまで、配送センターなどの設備を増やすことで売り上げを拡大させてきました。一方これからは、医療費の伸びを抑えるためにも、野菜で日本人の健康を追求していくことが必要です。それに会社の事業として貢献し、ビジネスを拡大させていくのが私の役割だと考えています。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=吉田啓子・編集部)

 

 ◇横顔

 

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A 食のコーディネーターとして独立後、クライアント企業の社長の手助けになることを願って、仕事を一生懸命していました。

Q 最近買ったもの

A JAL(日本航空)の株券。お客様訪問で全国を飛び回っていますので、株主優待などを使ってなんとか席を確保したいと思いまして。

Q 休日の過ごし方

A 会社の資料を作ったりしています。最近はお客様に絵や音楽の鑑賞に誘っていただく機会も増え、楽しいひとときです。

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 ■人物略歴

 ◇にわ・ますみ

 1978年椙山女学園大学家政学部卒業、食品会社に入社。1986年に独立、食品会社の商品開発などに携わったのち、99年デザイナーフーズを設立し、代表取締役就任。2004年6月デリカフーズ取締役。13年4月から現職。58歳。