2014年

7月

15日

エコノミストリポート:ユーロ 欧州中銀の金融緩和策 2014年7月15日号

 ◇マイナス金利導入から1カ月 デフレ回避の効果は未知数

田中理
(第一生命経済研究所主席エコノミスト)

 ECBが6月5日、主要中央銀行としては初のマイナス政策金利をはじめ、包括的な金融緩和策を打ち出してから1カ月余り。一つひとつの政策措置は事前に予想されたものだったが、まとめて発表したことで、デフレ阻止・ユーロ高抑制に対するECBの強い決意を感じさせた。

 ◇政策の総動員

 追加緩和策を確認しておこう。
 ①政策金利のうち預金ファシリティー金利(中央銀行の下限金利)をマイナス0・1%に引き下げ、②貸し出しの純増額に応じて銀行に低利の資金供給を行う条件付き長期リファイナンスオペ(TLTRO)を開始、③固定金利・無制限供給方式の資金供給オペの特例延長、④ECBによる過去の国債購入を不胎化するオペを中止(国債購入で市場に供給した資金をECBが吸収せず、放置することでより緩和的な状況にする措置)、⑤資産担保証券(ABS)の買い入れ準備を加速──と伝統的な金融政策の領域には含まれない政策メニューが並ぶ。
 利下げにより、無担保翌日物金利(EONIA)は0・1%ほど下方にシフトし、短期市場の指標金利も軒並み低下している。さらに当面は低金利政策が継続するとの観測が高まった結果、短期債を中心に国債利回りにも低下圧力が及んでいる。………