2014年

7月

15日

特集:親と子で考えるおひとりさま Part3 結婚しない娘&息子 娘・息子がニート 2014年7月15日号

 ◇未婚同居の正社員から一気にニートも 簡単なバイトこそ自立の第一歩

村井英一
(ファイナンシャルプランナー)

 ここ数年、「同居の子どもが無職でどうすればいいか」という60代前後の親から相談を受けることが多い。子どもの年齢は20代ばかりでなく、30代や40代、なかには50代というケースもある。

 競争の激しい今の時代、正社員といえども失業することは珍しくない。その際に既婚者は比較的早く解決することが多いが、独身の場合は無職状態が長引きやすい。
 特に親と同居していると、当面の住まいと食事には困らないので、無収入でも切迫感がない。これが長期化すると「ニート」(無業者)となり、場合によっては自室にこもりきりとなる「ひきこもり」状態になることもある。別居の場合は、家賃や食費の確保が必要となるが、独身であれば幸か不幸か親元に戻る選択もできる。実は正社員の未婚ほどニートになるリスクは高いとも言える。

 厚生労働省は、通学も家事もしていない15~34歳までの無職者をニートとしている。ここ10年は60万~64万人で推移しており、それほど大きな変化はない(図1)。しかし、公表データには含まれていない、35歳以上のニートが増えているのではないか、というのが相談を受けていての実感である。また、2010年の内閣府の調査では、近所のコンビニに行くぐらいしか外出できないひきこもりが、23万6000人いると推計している。

 一度ニートになると、仕事の確保が一層難しくなり、自信の喪失→求職活動への嫌気→求職活動の長期化、という負の連鎖に陥りやすい(図2)。親としては、子が失職したら、負の連鎖を防ぐことに気を配るべきだ。

 ニートの負の連鎖に陥らないための解決策は、なによりも求職期間が長期化しないようにすることだ。それには、求職活動の状況を見ながら、仕事の「目標を下げる」ことが必要となる。まずは希望職種や雇用条件以外にも視野を広げる。そして、正社員がだめなら、契約社員や派遣社員、それも難しいならアルバイトも考慮に入れたい。

 正社員は安定しているうえ、昇進や退職金の有無、福利厚生なども含めて考えると、生涯賃金に大きな違いが出る。厚労省のデータから推計すると、生涯賃金(ボーナスなどを除く基本給)は、正社員が1億5045万円に対し、それ以外では9157万円となる。しかし、それでも無職期間が長期化するより、仕事があれば生活にリズムも生まれる。

 例えば、時給800円のアルバイトを1日8時間、週5日したとすると、月収は12万8000円、年収153万円となる。10年間で約1500万円である。親との世帯収入で考えると、親の取り崩しも減るので金銭的メリットは大きい。

 また、ニートリスクに備えて、公的な制度も知っておきたい。現在、国はニートやフリーター向けの求職者支援に力を入れている。無料で利用できる制度や職業訓練も多い。

 都道府県に一つある「ジョブカフェ」では、ハローワークを併設し、若者から50代まで就職セミナーやカウンセリングなど実施している。

 08年に本格的に始まった厚労省の「地域若者サポートステーション」(サポステ)では、同省が委託したNPOなどの民間事業者が、ニートの就労支援を行っている。全国に160カ所ある。例えば、東京の「あだち若者サポートステーション」では、キャリアカウンセラー、臨床心理士などがカウンセリングや就活セミナーなどを行っている。

「求職者支援訓練」という、失業給付を受給していない人が無料で受けられる職業訓練もある。世帯全体の収入が月25万円以下、金融資産が300万円以下などの条件で、訓練期間は給付金が支給される。窓口はハローワーク。介護ヘルパー初任者研修やパソコン事務などの訓練を、主に3~12カ月間などから選べる。

 また、15年度に施行される生活困窮者自立支援法についても知っておきたい。同法の柱は、全国の自治体に困窮者のための相談窓口設置と、就労訓練にあたる軽作業を「中間的就労」として制度化することだ。家計相談や学習支援の事業も行う。窓口や各事業は、NPOや社会福祉協議会などに委託されることもある。


 ◇家売却の最終手段も


 娘・息子がニートから脱出できない場合、...

この記事の掲載号

親と子で考えるおひとりさま 週刊エコノミスト

2014年7月15日号

 

【特集】親と子で考えるおひとりさま

 Part1 自分もいつかは

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