2014年

8月

19日

特集:資本主義をとことん考えよう 第2部 歴史に学ぶ 経済学は考える 2014年8月12・19日合併号

 ◇資本主義における「対立」と「不況」

 

荒川章義

(立教大学経済学部教授)

 

 経済学はその歴史の中で「資本主義」をどのようにとらえてきたのか、ここではこの問題を、二つの観点を軸に考えてみたい。それが資本主義の本質を理解することの近道と考えるからである。

 一つは、資本主義経済にはどのような対立関係が存在するのかという問題、もう一つは、資本主義経済では過剰生産(不況)の発生は不可避なのかという問題である。そして、このような問題を考えるには、経済学がまだ揺籃期(ようらんき)にあったケネー(1694~1774年)やスミス(1723~90年)ではなく、経済学が「陰鬱な科学」と呼ばれ始めたリカード(1772~1823年)やマルサス(1766~1834年)の時代から始めなければならない。

 リカードやマルサスに代表される古典派経済学は、現在われわれが教科書で学ぶ新古典派経済学とは異なり、経済を構成する基本(最小)単位を「個人」ではなく「階級」に置いていた。1人の消費者や一つの企業ではなく、「労働者」「資本家」「地主」という三つの階級を、基本単位としていたのである。………