2014年

8月

19日

FLASH!:中国権力闘争 2014年8月12・19日合併号

 ◇慣例破った周永康氏の立件 すでに始まった次の“情報戦”

 

興梠一郎

(神田外語大学教授)

 

 中国共産党は7月29日、周永康・前党政治局常務委員(71)を「重大な規律違反があった」として、立件・調査することを決定した。すでに汚職・腐敗の疑いで取り調べを受けている可能性が高く、中国メディアは周氏とその一族の「腐敗ぶり」を堰(せき)を切ったかのように報じている。党政治局常務委員会は中国の最高指導部である。「反腐敗」を打ち出す習近平指導部が、同委員の汚職は追及しないという党内の慣例を破った形だが、その裏側では熾烈(しれつ)な党内の権力闘争が作用している。

 周氏は江沢民元国家主席と近く、豊富な資金力を誇る「石油閥」の大物である。中国石油天然ガス集団(CNPC)など巨大国有企業を背景に、分厚い既得権益を築き上げてきた。胡錦濤前政権では党内序列9位まで上り詰め、警察や検察、裁判所、武装警察などを一手に掌握する党中央政法委員会書記を務めた。「虎(大物)もハエ(小物)も一網打尽にせよ」と掲げて反腐敗に臨んできた習指導部にとっては、まさに“大虎退治”を終えたような気分かもしれない。

 報道によれば、中国当局はすでに周氏の親族や側近ら300人以上を拘束。本人だけでなく、親族や部下らから900億元(約1兆4400億円)の資産を押収しているようだ。中国内では周氏の立件決定後、周氏の秘書や息子を通して石油閥や企業家などと形成した詳細な腐敗ネットワーク図などが報じられている。ただ、周氏の「腐敗」は今年に入ってすでに外国メディアでも報じられており、中国内では「公然の秘密」だった。………