2014年

8月

26日

スマホ基地局:国内基地局市場は小型が主流に KDDI網の受注でサムスン先行 2014年8月26日特大号

小藤秀樹

(調査会社MCA、通信アナリスト)

 

 スマートフォン(スマホ)の急速な普及により、トラフィック(情報量)が急増し、携帯電話との間で情報を送受信する基地局市場にも変化が表れている。NTTドコモやソフトバンクモバイル、KDDIは、こうした国内の携帯電話基地局ネットワークを支えているが、新たな基地局の整備を行い、情報量の収容力を高める必要性に迫られている。その解決策の一つとして注目されているのが、「スモールセル」と呼ばれる重さ1~5キログラム程度の小型無線通信機である。

 このスモールセルに強いのがサムスン電子で、世界で最初にLTE(次世代高速通信)向けのスモールセルを商用化した実績を背景に、日本国内でのシェアを急激に伸ばしている。同社は、スモールセルの一種である「ピコセル無線機」と呼ばれる、電波の届く範囲が半径数百メートル程度の低価格無線機(1台10万円程度、出力1~5ワット)を武器に、2013年にKDDIへの参入を果たした。

 日本法人のサムスン電子ジャパンは、これまでKDDI系の通信事業者UQコミュニケーションズが提供する高速通信網「WiMAX(ワイマックス)」の基地局向けには納入実績があった。ただ、LTEの基地局向けではKDDIが初めてで、現状は、KDDI1社にしか供給していない。

 東京23区での各局の出力からベンダーシェアを推定すると、サムスンが出力5ワット未満の小型基地局数ベースで1位、出力5~10ワット超の大型・中型基地局数を含む局数ベースではエリクソンにほぼ並ぶ2番手に躍進している(図1)。

 その成長は、KDDIへの導入を始めた13年ごろに始まり、4位の三菱電機、3位のノキアソリューションズ&ネットワークス(NSN)を一気に抜き去った。

 ドコモとソフトバンクの基地局戦略は、電波が届く範囲が半径1~数キロメートルの大型基地局「マクロセル」と、同数十~数百メートルの中型基地局「マイクロセル」の組み合わせが中心だ。

 一方で、今後はドコモやソフトバンクも、KDDIに続いて、LTEの次の技術規格である「LTEアドバンスト」を導入予定で、電波の周波数帯は3・4~3・6ギガヘルツ帯での導入が計画されている。この帯域は高周波帯で、電波が遠くへ飛ばないため、ドコモとソフトバンクも、おのずとスモールセル主体の運用となるだろう。

 つまり、今後もスモールセルの市場は拡大する余地が大きい。国内の基地局市場でシェアが高いエリクソンやNSNだけでなく、ドコモ向け基地局を納入する富士通やNECも既にスモールセル対応の無線機の開発を済ませており、スモールセル市場の活況が予想される。

 こうした各通信キャリアによるスモールセル戦略の強化は、基地局市場にも大きな影響を及ぼしている。………