2014年

8月

26日

経営者:編集長インタビュー 國分秀世 メイテック社長 2014年8月26日特大号

 ◇技術力を強みにエンジニア派遣

 

 技術者派遣最大手。自社で正社員として雇用しているエンジニアを自動車や家電、精密機器など多岐にわたる業界に派遣、派遣先の設計開発業務に携わらせている。事務系派遣会社の多くが派遣期間のみ雇用関係を結ぶのに対し、メイテックなど技術者派遣会社の多くは、派遣業務に就いてない期間も社員を常用雇用しているのが特徴だ。

 

── 企業業績の回復は、メイテックの受注にも反映していますか。

國分 2011年9月から月間350件の受注をコンスタントにいただいています。350件というのは好調と判断できる水準です。リーマン・ショック後は月間100件を切る月もありましたので、現在は国内製造業の設計開発への投資は堅調に推移していると見ています。

── 国内メーカーの生産拠点の海外移転の影響は?

國分 今のところ日本の製造業は開発部門の中核は国内に置いているので影響はありません。ただ、海外の仕様に合わせて製品を現地でカスタマイズ設計して生産することがあり、当社からも海外に年間延べ1000人のエンジニアが出張しています。

── 派遣先にはプロバーの社員がいます。派遣社員に求める役割は何でしょうか。

國分 大きく二つあります。一つは、自社のエンジニアが保有していない技術力やスキル、ノウハウを持つ即戦力として当社のエンジニアを活用するということ。外部のエンジニアを入れることで職場の活性化を狙うケースもあると思います。もう一つは、企業が生き残るには品質の高い製品を早く、安く作ることが重要です。そのために、自社の人材だけでなく、外部戦力を使うメリットがあるのだと思います。

 1990年代までは単純に人手不足を補うために派遣会社を使う企業も多かったのですが、2000年代に入って変化しました。競争力を高めるためにいかに外部人材を活用するか、企業は人事戦略を真剣に考えています。

 

 顧客企業は約1000社。業種別売上高では、自動車・輸送機器が最も多く、産業用機器、電子機器などが多い。東海地区に本店を置くため、機械系のエンジニアが多いのが特徴だ。

── 派遣業務のトレンドに変化はありますか。

國分 例えば自動車業界なら、これまでの設計業務に加えて、自動運転や環境対応、快適さの追求など新分野の設計開発の業務が増えています。自動車といってもガソリンエンジン車に加えてハイブリッド、電気自動車、燃料電池車と、開発するアイテムや基礎技術が増えています。

 

 ◇「就社」ではなく就職

 

── 派遣先から求められる技術の変化にどう対応していますか。

國分 顧客が求める製品分野や技術などの受注情報と、エンジニアが保有する技術や過去の仕事歴などのデータをマッチングする「ベストマッチングシステム」を構築しています。エンジニア自身が顧客の求めることを認識し、自分の技術の足りない部分を把握することが重要です。それを踏まえ、エンジニア自身と各営業拠点の拠点長がキャリア目標を策定し、キャリアサポート部門が実施する研修などに参加するよう促します。こうした研修に参加したり現場でキャリアを積み重ねることによって、技術者としてのレベルは確実に向上していきます。

── そもそもメーカーではなく、メイテックのような技術者派遣の会社に就職するのは、どういう人材ですか。

國分 会社に「就社」するのではなく、エンジニアという職業を選んだという人が多いと思います。メーカーに就職しても、事務職や現場、生産管理などさまざまな仕事があり、必ずしも設計開発の仕事に携われるとは限りません。さらに言えば、ある程度の年齢になると、設計開発一筋で行くか、マネジメントに移るかという分岐点があります。その点、ここでは、生涯エンジニアを全うできます。

── 報酬体系はどうなっていますか。

國分 高い対価を得られる仕事に派遣するエンジニアには、その分を給料にフィードバックする業績連動型を導入しています。ただし派遣と派遣の間の期間に給与が大幅に減ることはありません。

── 正社員として雇用していると、リーマン・ショックなどで受注件数が激減した時期には経営が厳しかったと思いますが。

國分 確かに2010年3月期は売上高が激減し、赤字になりました。バブル崩壊期の1991年から93年に社員を減らしたこともありましたが、今回は、人員カットはしない、社員を守ると決めていました。

── 人手不足が深刻化しています。シニアエンジニアの活用にはどう取り組んでいますか。

國分 60歳で定年を迎えたエンジニアの場合、派遣先との契約が継続しているときは、当社の正社員として引き続き勤務させます。派遣契約が終了している場合は、希望者は全員、13年7月に設立した「メイテックEX」で雇用するようにしました。(Interviewer=横田恵美・本誌編集長、構成=小林多美子・編集部)

 

 ◇横顔

 

Q 30代の頃はどんなビジネスマンでしたか

A ビジネスマン人生の転機になった年代です。36歳までは現場のエンジニアで、営業所の拠点長を3年間した後、本社の広報部長になりました。本社への転勤は驚きましたが、チャレンジしてみようと決断しました。

Q 最近買った物

A 布団掃除機と調理家電の「エッグマスター」を買いました。単機能に特化した製品でも、当たれば売れるんだと感じました。

Q 休日の過ごし方

A 朝早く起きて、録画しておいたスポーツ番組を見ています。

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 ■人物略歴

 ◇こくぶん・ひでよ

 福島県出身。1982年東海大学工学部卒業後、メイテック入社。エンジニアとして自動車、家電、工場の生産設備などの設計業務を経験後、98年に本社広報部長。2003年取締役就任。14年4月から現職。54歳。