2014年

9月

02日

特集:とことん考える人口減 歴史は教える 2014年9月2日号

 ◇近視眼的政策が招く人口問題

鬼頭宏
(上智大学経済学部教授)

 日本の人口は2008年をピークに減少に転じた。しかし人口減少は、40年前の1974年の時点ですでに予測されていた。むしろ期待されていたというべきだろう。
 戦後2回目の人口白書『日本人口の動向─静止人口をめざして─』がまとめられたのは、74年4月のことだ。60年代から70年代にかけて、世界人口は爆発的な増加を続けていた。そのため食糧不足、資源枯渇、環境悪化が懸念され、人口増加抑制が国際的な課題になっていた。

 白書の副題が示すように、世界の人口爆発を食い止めるために、日本も率先して人口抑制に努め、人口が増えも減りもしない「静止人口」を実現することが目標とされた。母親年齢になるまでの死亡を考慮した女児の数を示す純再生産率を0・96まで落とすなら「昭和85年」(2010年)までは人口が増加するが、それ以後、減少に転じると予測した。
 この報告を受けて、74年7月に各界の識者を集めた日本人口会議が開催された。3日間の会議の結果、「子供は2人まで」を国民的合意で達成すべしとする大会宣言を採択した。子を産むか産まないかは個人の自由であるという批判はあったものの、強く国民に訴えることになった。………