2014年

9月

16日

ワシントンDC 2014年9月16日特大号

 ◇援助先からパートナーへ アフリカとの関係に転換点

 

須内康史

(国際協力銀行ワシントン首席駐在員)

 

 8月4日からの3日間、米政府の招待によりアフリカの約50カ国の首脳がワシントンDCに一堂に会した。「米・アフリカ・リーダーズサミット」への参加のためである。同サミットは今回が初開催。昨年6月にオバマ大統領がアフリカ諸国を歴訪した際、南アフリカのケープタウン大学での講演で、構想を発表していた。

 例年であれば、この時期のワシントンDCは、米議会も休会に入り夏季休暇の雰囲気が漂う。だが今年は、多数の首脳が集った一部施設や道路には警備員が配備され、立ち入り規制がしかれるなど、物々しい雰囲気が漂った。

 3日間にわたる会議では、オバマ大統領とアフリカ各国首脳が参加した首脳会議のほか、各国首脳・政府関係者とともに米国、アフリカ双方の民間企業が参加した「米・アフリカ・ビジネスフォーラム」も開催された。

 一連の会議を通じて、米政府は、アフリカ諸国の平和維持部隊の能力向上のために1・1億ドルを投じるなど安全保障・治安面での支援を表明。米国企業のアフリカ向け輸出と投資促進のために70億ドルの支援も発表した。また、コカ・コーラやゼネラル・エレクトリック(GE)など、米国の主要企業がアフリカへの新規投資を表明。サミットを通じて表明されたアフリカ向けビジネスへの新しい資金コミットメントは、官民で総額330億ドルに上った。

 

 ◇明確に示されたメッセージ

 

 今回のサミットは、経済成長が著しいアフリカとの連携強化を図り、その成長を米経済に取り込む契機とすることが米政府の狙いの一つとみられる。従来、アフリカは、「援助の供与先」との位置づけだった。それをアフリカの急速な発展を前に、「双方向のパートナー」としての関係に転換することが必要との認識だ。

 この点は、オバマ大統領がビジネスフォーラムの演説で、「米国はアフリカの成功のための良き、そして対等で長期にわたるパートナーとなる」と表明し、バイデン副大統領が「もはや米国が『アフリカのために』ではなく、『アフリカとともに』何ができるかが重要だ」と述べたことに明確に示されていると言える。

 閉会後の記者会見でオバマ大統領は、このサミットが「歴史的な会議であった」と成果を強調した。だが、専門家やマスコミの一部には、アフリカ首脳との個別会談を行わない大統領の姿勢や、企業経営者と米議会関係者の多くが休暇となるこの時期の開催に疑問を呈する声がある。

 また、オバマ政権第1期は「アフリカ無視」と揶揄(やゆ)されるほど、対アフリカ外交に重点を置いてこなかった過去がある。日本や中国、欧州連合(EU)は何年も前からアフリカ諸国との首脳会議を実施しており、後塵を拝している状況への批判から、オバマ大統領の外交上のレガシー(業績)作りにすぎないと冷ややかに見る向きもある。

 こうした批判が当てはまる面もあるため、サミット開催に対する政権側の評価は割り引いて考える必要があろう。しかし、それでも、米国がアフリカの発展を認識し、アフリカとの関係を双方向へとシフトさせようとしているメッセージを明確に示す機会になったことは間違いない。

 ブルッキングス研究所のアフリカ専門家は、双方向の関係へのシフトや、米企業による具体的な新規ビジネスのコミットメント、さらには今後の継続開催についての合意などを前向きに評価している。こうした諸点を考え合わせれば、今回のサミット開催は、米国とアフリカの関係を変える一つの転換点となる可能性を秘めていると言えよう。